5月8日 フォロワー
檜 「じゃあ、その交渉受けたんですか?」
俺 「ああ。受けたよ」
檜は、驚きの表情を浮かべていた。まぁ、たしかにそうだよな。わからなくもない。檜が俺と同じような契約を取ってきたらブチギレるだろうな。
檜 「それヤバイじゃないですかぁ」
俺 「俺もそう思うよ」
なんで同意してるんだみたいな顔をされる。
檜 「どうするんですか?」
俺 「しょうがないけど、中村さんと話すしかないな」
もう契約したから仕方がない。これに関しては、後戻りできないのはたしかだ。
檜 「でも、なんで受けたんですか?」
俺 「これからの成長を見越してかな」
本当は、山城の熱意に押されたからって言いたいけど。後輩の前だし、そんなことは言えない。
檜 「成長しそうな会社なんですか?」
俺 「昨日、代表来てたんだよ」
昨日のことは驚きでしかなかった。
檜 「代表?」
俺 「調べてみろよ、"古谷遊助"って」
パソコンに打ち出した。パソコンのキーボードの音が聞こえる。
檜 「この一番上の人ですか?」
檜のパソコンの画面をのぞいた。そう、コイツだ。
檜 「この人、めちゃくちゃ有名じゃないですなぁ」
俺 「みたいだな」
大きな声を出した檜の方を見つめた。
檜 「この人、フォロワー1万人いるじゃないですかぁ」
俺も昨日同じことを思った。たしかに、あんな若いヤツがこんなに影響力あるなんて普通思わないよな。
檜 「この人の会社だったら許してもらえるんじゃないですかぁ」
俺 「まぁ、許してもらうことがゴールじゃないから」
檜 「どういうことですか?」
これは、自分の中で明確な答えがあった。
俺 「たった2000円しか払ってもらえないんだよ?損するのわかってるじゃない」
檜 「そうでよね」
俺 「俺は、この2000円を20万円に変えるよ」
2000円なんて借金みたいなもんだ。だったら、この借金を投資と考えるしかない。そうすれば1年後俺への投資額は変わってくると思っていた。
檜 「すごいですね。結局、古谷って人とどうなったんですか?」
俺 「会社の成長とともに、俺たちのもとへ返ってくるようにしたよ」
俺はあの後、古谷と広告契約と宣伝の方を依頼したのだった。これからも、俺はこの会社の動向を追っていくことにした。




