4月24日 商談
この前と同じ場所だったが、少しこの前とは気持ちだった。熱心に話す18歳の姿は、燦々と照り渡る太陽のように眩しかった。俺の目の前にいたのは、山城風華と高田真波という二人の女性だった。この前は、たしか一人だったのに。なぜ、二人来ているのだろうか?今日は、緑黄色会社との商談の日だった。
山城「どうですか?」
俺 「うーん、、、、、、」
もう、何回商談を重ねても同じ気がする。
山城「まだ、ダメだったら改善します」
この前もこのセリフを言われたような。
俺 「そんなの言っても無理ですよね?」
山城「いえいえ。どうしても御社のサービス使いたいんです」
なぜ、ここまで真剣なのか。この前はいなかったはずの高田という女性はとても可愛らしい顔をしていたが、山城とは真反対。まったく顔色ひとつ変えることはなかった。ただの付き添いか?
俺 「なんで、うちのサービスをそんなに使いたいの?」
山城「どうしても、売り上げたてたいんですよ」
シンプルだが、その気持ちが一番大切だった。
俺 「それは、この前聞いたよ。別に、うち以外の会社でもやってるところはあるでしょ?」
そろそろ、終わりの時間だ。これで判断しようと決めた。この後、会社に戻って俺も仕事をしなければならなかった。
山城「どうしても御社のサービスじゃないと売れないと思うんです」
なんだか彼女の言っていることは、作った言葉ではないようだ。
俺 「どの機能がいいと思っているの?」
この質問に答えられたらもういいや。
山城「広告通知です。あの機能は、なかなかないんです。他のサービスだと。だから、どうしてもお願いしたいんです」
その通りだ。俺たちの会社サービスの魅力は、他社にはあまりない広告通知というものだった。
俺 「‥‥」
もう何も言えなくなっていた。
山城「ダメですか?」
ダメだけど、ダメじゃない。
俺 「そんなに、俺にお願いしないでよ。もう俺もいい歳になるんだよ。君みたいな若い子に頭さげられるとさ悪いことしてるみたいじゃないか」
必死に頭を下げる山城という女性の姿を見て、言葉が溢れた。
山城「すいません」
俺 「じゃあ、俺から会社には話を通しておくよ」
山城「ありがとうございます。本当に助かります」
ちゃんと売れてくれよ。これが俺からの願いだった。




