4月23日 山形元宏
これまで契約してきた会社の整理は、中盤にさしかかっていた。
俺 「山形さん、この会社どうしますか?」
山形「あぁ、ヨーカね。どうしようかな」
この会社は、最近契約していない会社だ。しかし、古くから付き合いがあったということもあり、山形さんは切るという判断ができないでいた。
俺 「迷いますよね」
山形「そうなんだよね。どうした方がいいと思う?」
俺にどうしろというのだ。ツッコミたくなってしまう。
俺 「切ったら、どうなりますかね?」
山形「向こう側としては、困るんじゃないかな」
俺 「ですよね」
俺の中では、契約せず切るという1択しかなかった。
山形「もし、よかったら一緒に会社行く?」
俺 「会社ですか?」
山形「伊東くんも来てないし、自分の目で見て判断するのもいいかなと思って」
完全に、俺に判断させようとしてるな。腹が立つ。クソォ。
俺 「いいですよ。空いてたらいつでも行きます」
山形「そっかぁ。ありがとう」
もう40を過ぎたオッサンが自分で判断すらできないのか?呆れてしまう。嫌なことは全てこっちに押し付けて、自分はいいところだけをとる。そんな都合のいいことがあるだろうか?
俺 「最近、どうですか?」
山形「僕のこと?」
俺 「はい」
話すネタもなくなったので、とりあえず今の状況に対して意見を聞いてみた。
山形「そうだね。今までとは、また違った感じだね」
やっぱり変化はあるのか。客観的に見ることはできていなかった。
俺 「そうですよね。高山さんがいなくなって、ガラッと変わりましたよね」
とりあえず同意しておこう。
山形「そうね。雰囲気も含めて、凄い変わったね」
俺 「山形さんは、高山さんの方がやりやすいんじゃないですか?」
サラッと痛いところをつくことにしてみた。
山形「うーん。そんなこともないよ」
俺 「そうなんですか?」
山形がどう思っているかはわからない。それでも意見を聞けたのはよかった。
山形「そうだよ。高山さんは、明確なやり方があるからね。それと違うことをした時は、やっぱり上手くいかないよ」
そうだ。山形というのは、誰よりも自由を好んでいたんだ。責任者になる前ならわかっていたことを俺は忘れていた。
俺 「あー、それはわかりますね」
今の山形さんの発言には同意できた。




