4月13日 期待の星
中村「どう、調子は?」
俺 「うーん。微妙ですね。なんか、いろいろと」
今日も中村は、巡回しながら話をしてくれた。ちょうど、仕事がひと段落したところだった。
中村「そっかぁ。まぁ、新入社員もいるから頑張ってよ」
俺 「オススメ誰かいるんですか?」
毎年恒例の新入社員の状況を確認した。
中村「うーん。まだまだ、これからかな。でも、遠山くんなか面白いよね」
遠山?
俺 「誰ですか?」
あまり、身に覚えがなかった。
中村「えっーとね。歓迎会覚えてる?」
俺 「あっ、一応覚えてますよ」
結構、酔ってたから本音で言うと、あまり覚えていない。
中村「あの時、挨拶あったでしょ?」
俺 「はいはい」
中村「野球部の男の子いたでしょ?」
俺 「あー、あの子ですね」
たしか、最初の方に発表していた子か。
中村「うん。あの子なんかよく頑張っててね。二、三年後とか面白そうだよね」
俺 「へー、そうなんですね」
中村さんが言うなんて珍しい。
中村「まぁ、今現在時点だけどね」
俺 「うちの中丸と石木は、どうですか?」
少し苦笑いをしながら答えた。
中村「どっちとも、これからって感じはするけどね」
俺 「まぁ、そうですね」
これ以上、深く聞くことはできなかった。
中村「期待できそうなの?」
俺 「まぁ、どうですかね。花沢や檜を早く脅かしてほしいですけどね」
俺の本音だ。花沢や檜がうかうか仕事ができないような状態になれば、もっといい職場になるんじゃないかと思っていた。
中村「それは、頼もしいな」
俺 「アイツらもゆっくりしてないで働いてほしいですよ。ホントに」
嫌味も含めて話をした。
中村「伊東くんが育ててるんだから大丈夫ないの?」
俺 「大丈夫そうに見えますか?」
相変わらず、中村さんもプレッシャーをかけてくる。
中村「どうだかねぇ。ハハハハ」
俺 「絶対、濁してますよね」
中村を詰める。
中村「濁してないよ。二人とも期待の星だからね」
俺 「絶対嘘でしょ」
中村「そんなことないよ」
俺 「いや、そんなことありますよ」
二人とも同期で出世をしている奴らは少ない。
中村「頑張ってるからね」
俺 「頑張ってたらいいみたいなんやめてくださいよー」
中村さんは、微笑みながら回答してくれた。




