4月7日 取り引き先
今日は、午後からテレアポをしていた。今日は、なかなかいい案件が決まらない。気を取り直して、3件目に電話をしよとした時だった。横で、花沢が電話対応をしているのがわかった。
「もしもし、こんにちは」。勢いよくお電話をしてきた相手は、30代くらいの女性方だった。俺がその電話を受けたのは、ちょうど夕方くらいの時間帯だった。電話の向こうで、明るい声音が私に返事を返してくれた。「ごめんなさい、今お忙しいでしょうか?」。とても丁寧な印象だ。
その声音の主は、営業の方で、電話対応に慣れていることは一目瞭然だった。しかし、声のトーンや表情からは、ただ商談をするというより女子高生とカフェで話をしているような雰囲気が感じられ、なんだから俺も気持ちが上がっていた。
「いいえ、大丈夫ですよ。どうされましたか?」。
俺はその言葉を言う前に、気付いた。これは、新しい取り引き先になる可能性があると。自分の感があたるかどうかはわからなかったが、ただ与えられた時間を、相手主導で無駄に過ごしたくなかった。
〈ありがとうございます。ちょっとお時間を頂戴してもよろしいでしょうか?〉。即答で返事を返した。
しかし、いまだに彼女の名前は聞いていない。俺は、その瞬間に彼女に尋ねた。「あ、すみません。ところで、お名前は何とおっしゃいますか?」彼女は、その問いかけに少し驚いた声でで私に話した。「あ、すみません。私は、緑黄色会社の山城風華と申します」。
彼女の名前を聞いたが、まったくわからない。私は再び彼女に聞いた。「では、お話をいただけますか?」
彼女は微笑みを浮かべているように感じた。どうやら、俺たちの会社で販売しているオンラインショップの内容について話を始めた。話を聞いていくと、山城の会社が新しい産品を出す予定で、一度見てほしいということを伝えられた。それでよかったら、山城の会社の宣伝広告をお願いしたいということだ。
珍しいな。向こうからかけてくるなんて。こういうのは、大抵こちらからお願いするものなのに。今、俺たちの会社は、新しい機能が追加された宣伝広告がヒットしていた。その声を聞きつけてきたのだろうか?俺は、アポを決めて、後日会うことになった。彼女の電話からは、自信と情熱が感じられ、私は、彼女に興味を持ち始めた。彼女との商談は、まだ始まったばかりである。しかし、今のままでは、彼女との取引が成立しないと思っていた。




