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4月4日 判断

 コーヒーを飲みながら、パソコンに資料データを打ちこんでいた。ため息が漏れてしまう。今日は、久しぶりの残業だった。夜のオフィスは、なんとも言えない雰囲気だった。

 俺は、仕事内容を変えるために昨日渡された檜のプレゼン資料を手にとった。ところどころ誤字脱字は、見えるもののやはり檜にしてはとてもいい文章だった。


 中村「お疲れっすー」

 俺 「まだ、いたんすか?」


 パソコンを持ちながら、歩いてきた。


 中村「さっきまで巡回してたからね」

 俺 「巡回ですか?」


 いつものようにメガネをとって、背伸びをしようとしていた。


 中村「うん。いろいろ場所回ってて」

 俺 「この前のどうでした?」


 中村は、メガネをかけた。


 中村「この前のって、会議のやつ?」

 俺 「そうです。上手くいきました?」


 あの後、あの話はまったく表沙汰になっていなかった。


 中村「なかなか解決せんのよね」

 俺 「契約打ち切ってもですか?」


 俺は、あの件が最終的にどう落ち着くのが気になっていた。俺なら、打ち切って対応するけど、どうするんだろうか?


 中村「なんか、飯島さんがね。なかなか、打ち切りしようとしなくてね」


 飯島さんは、真っ直ぐな人だから、てっきり打ち切るのかと思っていた。意外とクライアントに情をもつ人なんだろうか?


 俺 「すごいですね。飯島さんも」

 中村「まぁ、強気なんよね。なかなか」


 困った顔をしながら、中村は、パソコンを起動した。


 俺 「言ってることはいいと思いますけどね」

 中村「それでも、打ち切りの選択ださんと、引きずるよ。これは」


 判断に関しては、かなりシビア。それが、中村の真骨頂だった。昔から、情はいれず、判断してきた。


 俺 「わかりますね。こういうケースって早く判断しないとモメますよね」


 俺も昔、モメてしまったことを思い出した。


 中村「そうそう」

 俺 「サクラの時とかやばかったですよ」


 俺たちの取り引き相手に「サクラ」というのがあった。こことは、長い付き合いだが、定期的にモメている。それを昨年、俺と中村が打ち切りにしたのだった。


 中村「あれは、ヤバいですね」


 時刻は、すでに21時を過ぎようとしていた。


 俺 「もう疲れました」

 中村「いや、もうこんな時間やし、そろそろ帰ろう」

 俺 「そうですね」


 中村の合図とともにパソコンを閉じたのだった。

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