4月3日 プレゼン資料
新入社員の二人は、なかなか凄かった。まだ、3日目だったが、部署内での評価も悪くなかった。これから、どうなるのか楽しみだった。石木、中丸とは、ほとんど話せていかなかったから、部署で歓迎会を開こうと花沢に誘われていたのだった。
一方、新入社員だけに目を向けることはできなかった。檜や花沢たちも見ていかないと、何をするかわからない。新入社員じゃないとはいえ、まだまだ育てる必要があった。俺は、昼休憩のこの時間帯にこれからのことを考えていた。すると、別部署に行っていた檜が戻ってきた。
檜 「伊東さん、この資料確認お願いします」
帰ってきて、そうそう俺への仕事かぁ。相変わらず、俺のことを舐めていたのは変わらなかった。新入社員も入ってきたんだし、そろそろ改めろよな。檜からは、10枚ほどのプリントがホッチキスで留められていた。
俺 「何、これ?」
もらったプリントをめくる。
檜 「今度、社内でプレゼンするんですよ」
檜の言葉を聞きながら、文章を読んでいく。
俺 「いつ?」
檜 「6月です」
俺 「6月なの?」
6月といえば、毎年一番忙しい時期だ。人が辞める時期でとあるしトラブルも起こる。そして発注も多い時期で重なってしまうのだ。
檜 「そうなんですよ」
俺は、資料に目を向けながら、文字を読んでいく。檜にしては、とてもいい文章だった。昔は、こんなものも書けなかったから、大きな成長を感じていた。
俺 「いいじゃん」
檜 「よっしゃあ。これでいけるな」
なぜか、自信があるみたいだった。
俺 「慌てるなよ」
焦る檜を、静止した。
檜 「えー。慌てますよ。急いでるんですから」
コーヒーを飲みながらリラックスしていた花沢を横目に話した。
俺 「お前だったら、楽勝だろ?」
チラリと檜を見る。
檜 「そんなことないですよ」
どこか嬉しそうな檜は、顔を覆い返す様に話した。
俺 「誰が気になるんだ?」
檜 「そりゃあ、山本だったり蔭間とかは」
山本や蔭間は、檜と同期ですでに役職に就いているものたちだった。
俺 「ああ。あの二人ね」
檜 「そうですよ」
どこか気にしているみたいだ。
俺 「まぁ、アイツらとは比べない方がいいんじゃないか?」
檜 「そう言われると、余計気になりますよ」
俺 「そうか?もっと楽しめよ」




