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4月1日 入社式

 そろそろ椅子に座っているのが限界になってきた。社長の話を聞きながら、机に置いてあったペットボトルに手をとった。もう話始めて5分が経過しようとしていた。俺は、時折、窓に外の映る景色を見ていた。

 俺の横、前には同期たちが座っていた。横には、千尋。前には、青山、今市。この中で、最速で責任者になったのは、青山だった。青山は、広告宣伝部の2年目に任された。無理難題を言われても、確実に結果を出す姿勢が評価されたらしい。

 その対極にいたのが、今市だった。今市も2年目の時に、責任者を打診されたらしいが、断ったらしい。理由は、会社に縛られたくないからということだそう。今市の気持ちはわかるし、その考えを貫き通しているのは凄いと言わざるをえなかった。

 そして、青山、今市の間にいるのが千尋だった。千尋は、バランス型とも言えるだろうか。千尋は、3年目の時に、責任者の打診をされたが、今市同様、その打診を断ったみたいだった。しかし、今市違うのは、そこからだった。責任者は、断ったが代理責任者は、承諾したのだ。社長の話は、8分を過ぎようとしていた。これからの会社の理念や構想を語っていた。

 俺は、今日から本格的に責任者の仕事をするから、他の人と比べると出世するのが遅い。もっと早くなってもおかしくないと言ってくれる人もいたが、俺を推すひとは、少数派だった。そのため、ここまで出世が遅れたのだった。

 もともと出世には興味がなかったし、なりたいと思ったこともなかった。それでも、青山や千尋を見ていると、もっと本気になれるものを見つける必要があると思っていた。ずっと近くにいた同期たちが自分の道を歩いていると、どこか思うことがあった。別に憧れじゃないし、羨ましいと思ったこともない。

 しかし、そう思わないと自分が正当化できないんじゃないかと思う場面があった。部屋からは、大きな拍手が鳴り響いていた。俺も慌てて拍手をし出した。社長は、パイプ椅子へと戻っていく。続いて、社員代表として、中村さんが挨拶をするみたいだった。

 そう言えば、昨日の仕事は、まだ完全に終わっていない。どうしようか。中村の話を聞きながら、俺は考えていた。今日から俺の部署にくる石木、中丸。この二人がどういう働きをしてくれるのか不安だった。いきなり頑張ってくれたら、嬉しいけど、全然結果出せなかったら、俺たちの部署がコケてしまう可能性もあるんじゃないかと思っていた。

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