3月25日 打ち合わせ
4月まで、もう時間がなくなっていた。今日は、朝から中村と今後の打ち合わせをしていた。1時間ほどで、今後の会社の方向性は、定まった。話は、だんだん俺たちの部署へと変わっていた。
中村「どう?」
コーヒーを飲みながら、タイピングをしていた俺に声をかけてきた。俺は、昨日、契約をとった会社のデータを打ち込んでいた。
俺 「一昨日、サンデイの山本さんに契約切られました」
中村「まじかぁ、、、。まぁ、最近、相性よくなかったしな」
当時、契約をとった中村は、考え深そうに話した。
俺 「めっちゃ腹立ってますよ」
中村「俺が契約した時は、山本さんじゃなかったからな」
俺 「そうなんですね」
たしかに、昔のことを山本が話すことはなかった。
中村「そうそう。売り上げキツそう?」
俺 「まぁ、なんとか耐えてる感じですね」
今の俺は、そんなに余裕はない。
中村「あんま無理すんなよ」
俺 「そうなんですけどね」
中村は、俺のことをかなり心配していた。
中村「他のスタッフは、どうなの?」
俺 「うーん、なんとも」
中村「あんま、見れてないの?」
俺 「そこまで余裕ないですね」
スマホに目をやりながら、俺に返答した。
中村「伊東くんの仕事は、売り上げじゃないからね」
俺 「わかってますよ」
この言葉は、ずっと中村に言われてきた言葉だ。
中村「だから、あんまり売り上げ気にしすぎるなよ」
俺 「はい」
スマホに目をやっていた中村は、だんだん表情が曇っていった。
中村「じゃあ、青野くんのとこ行ってくるわ」
俺 「青野なんかあったんですか?」
なぜ、青野なのか?
中村「うん。聞いてない?」
俺 「全然、聞いてないです」
どこか言いづらそうだった。
中村「今度の会議で話すんやけど、冨田が青野とモメたらしくて」
俺 「まじですかぁ?」
青野は、常に結果を出し続けていたからこそ、まさかとは思った。
中村「うん、今大変よ」
俺 「青野とは、最近連絡とれてないですね」
中村「この前の同期会、来てなかった?」
俺 「いろいろあって。結局、なくなったんですよ」
あの日、いろいろあって、同期会はなくなった。中村は、カバンにパソコンをしまい移動の準備を始めた。
中村「頑張れよ」
俺 「ありがとうございます」
中村は、さっきまで外していたメガネをつけて、席をたった。




