3月2日 森川千尋
朝からプレゼン資料の修正にとりかかっていた。昨日は、プレゼン資料の改善の時間がなかったこともあり、昼から資料の数値を打ち直していた。すると、先輩の高山から注意をうける。
高山「この数値は、どこから算出した?」
私 「えっと、研究論文からです」
高山「この前、言っただろ。研究論文から数値をとる時は、周りの人間に正確かどうか聞けって」
どうせ、数値なんてみてねぇだろうと思いながら話を聞いていた。いちいち反論しても、話が長引くだけだから、黙っていた。高山の注意は、いちいち苛立っていたが、なんとかプレゼン資料を修正し、月曜日には出せそうだった。
今日は、同期の千尋と帰る予定だった。会社の同期は、私を含めた四人。私の同期には、青野佳浩、今市透、森川千尋がいた。私は、森川千尋と仲がよく、プライベートでもご飯に行くことがある。千尋は小・中・高まで野球をしており、大学では、バイトに明け暮れていたことを聞いた覚えがある。第一、第二志望の会社に落ちてこの会社に入社したそうだ。
すると、千尋が私の机までやってきた。千尋は、笑顔で話しかけてきた。
千尋「どうやった?プレゼンの資料?」
私 「怒られたよ」
千尋「何がよくなかったの?」
私 「数値と文章構成かな」
千尋「まぁ、よくあるミスよな」
千尋は、優しくフォローしてきた。
私 「うーん。タイミング悪かったかな」
千尋「だな」
俺は、千尋と一緒に退勤した。俺たちは、会社を出て、駅に向かって歩いていった。
千尋「今日、友だちと飯やから、飯塚駅で降りるわ」
私 「おう。大学の時の友だち?」
千尋「うん」
私 「千尋って、友だち多くいよね」
千尋「そうでもないよ。今日も行っても行かんでもいいやつやし」
千尋の話を聞いていると、いつも友だちとどこかに出かける。
私 「明日休みやし、行った方が楽しいやろ」
千尋「新は、どっかいかないの?」
私 「もう、最近全然やな」
千尋「そんなに?」
私 「もう、何もやる気起きないね」
千尋「遊びとかも全然?」
私 「行ってないな。休みの日は、ぐーたらしてるなぁ」
千尋「そういう時間も必要ちゃう」
千尋は、彼女がおり、結婚も視野に入れていることを聞いている。結婚相手は、大学のサークル仲間らしい。顔も性格もいい千尋が少し羨ましかった。でも、そんな千尋を羨ましがっている自分自身が嫌いになってしまっていた。




