3月16日 退職
高山が会社を辞めるということは、思った以上に会社として影響を与えた。昨日に続き、上層部は、バタついていた。朝から、中村以外の深山、代表の園山もやってきた。
園山にあまり会わない八神、檜たちは、とてもビックリしていた。昨日から高山は、有給休暇に入っていた。俺は、苛立ちとともに呆れていた。
園山「伊東くん、今回の高山さんの件は、どう思う?」
俺は、会社の外で、園山と話をしていた。
俺 「そうですね。会社としては、しんどいかもしれないですが、高山さんがいても雰囲気が悪くなるだけなので」
高山の不満が溢れ落ちた。
園山「それは、どういう意味?」
俺 「あの人がいても、俺たちがしんどいっていうことです」
少し強めに表現をしてみた。
園山「なるほどね。伊東くんは、それ誰かに言った?」
俺 「いや、言ってないです」
園山「だったら、それはよくないね」
力強い眼差しで俺の方をみた。
俺 「言ったって、何も変わらないじゃないですか?」
園山「それは、違う。言わなきゃ、変わるものも変わらないよ」
園山は、声量を上げて反論してきた。
俺 「そうかもしれないですけど、僕たちは、高山さんがいる中で必死にやってきたんですよ。もしかしたら、比良も高山さんの影響かもしれません」
比良の名前を出してしまった。この時、言わなきゃよかったことに気がついた。
園山「もしかしたら、そうかもしれない。じゃあ、伊東くんは、その中で何をしていた?比良くんの1番近くにいたのは誰になる?」
園山の言葉に何も言い返せなかった。
園山「誰だって、上手くいかないことはある。高山さんだって、上手くマネジメントができなかっただけ。それだけだよ。それ以下でもそれ以上でもない」
"それ以下でもそれ以上でもない?"笑わせるな。あんだけ、しんどい思いをしてきたんだ。こんなことで、終われるか。
俺 「いやいや・・・」
反論をしようとしたその時。園山は、俺の会話にかぶせて話をしてきた。
園山「いやいやじゃない。これから、リーダーになるんだったら、こんなことで他責にしていてはいけない」
俺 「うーん」
園山とは、いつも話が上手くかみ合わない。
園山「誰かのせいにするんじゃなくてさ、自分がどうするかを考えよ」
俺は、納得がいかなかったが、諦めて頷くことにした。




