3月13日 中村克也
今日は、中村さんがやってきた。この前の件もあって、相当心配している様子だった。
中村「今、時間ある?」
俺 「大丈夫です。偵察ですか?」
現在、取り扱い注意となっている取引先の資料を出した。
中村「そんなヒドイ言い方ないやろ」
俺 「絶対、偵察でしょ」
中村「そんなことないよ、伊東くん頑張ってるかなーって見にきただけよ」
俺たちは、面談室へと入っていった。
中村「あれからどうなん?」
俺 「いたって、普通ですよ」
中村「じゃあ、これからは心機一転がんばると?」
笑いながら、俺の方を見ていた。
俺 「どこが心機一転、頑張ってるように見えるんですか?」
中村の言葉には、素直になれなかった。
中村「いやぁー、頑張ってるよ」
俺 「いやいや、全然ですよ」
中村は、35歳。国立大学出身ということもあり、とても賢かった。
中村「今は、どうなん?」
俺 「んー。高山さんヤバいですね」
一方、上司の高山は、とても話をしにくい人物だった。
中村「俺、仲良くしてるけどな」
俺 「いやいや、あの人は、圧ヤバいですよ」
俺も檜も、高山にはビビり倒していた。
中村「まぁ、ちゃんとこれてよかったんじゃない?」
俺 「ハハ。どういう意味ですかー?」
つい、この間の出来事をさしているのだろう。
中村「どういう意味やろなー?」
中村は、どこか安心している様子だった。
俺 「それより、この間の取引先どうするんですかぁ?」
中村「あぁ、あそこねぇ。心配やな」
俺は、先ほどの資料を中村の前に差し出した。
中村「これなぁー。うーん」
ペラペラと資料をめくりながなら悩んでいる様子だった。
俺 「まだ、決まってないんですかぁ?」
中村「うん。今、深山とどうするか決めてるところかな」
俺 「了解です」
この件に関しては、俺もすぐに判断すべきではないと考えていたため、中村の判断を待つことにした。
中村「伊東くんは、これからどうするの?」
俺 「うーん。早く後輩に任して、旅出たいですね」
中村「また、旅言うてるやん」
俺 「当たり前ですよ。僕を引き留めた罪は、重いですよ」
俺の選んだ道がこれで正しかったのかは、わからない。でも、こうして先輩が足を運んでくれるだけでも、ありがたいのかなと思った。




