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3月10日 悩み

 いよいよ会社を休めるのも今日までだった。この4日間いろいろ悩みすぎてしんどかった。本当にこの選択でよかったかわからない。でも、、、、、


 ー3月6日ー


 深山からの折り返しの電話は、約15分後だった。


 深山「もしもし」

 俺 「もしもし」


 深山は、スッキリとした声のトーンになっていた。


 深山「ごめん、遅くなって」

 俺 「いえいえ、大丈夫です」

 深山「さっきの話やねんけどな、、、」


 何を言われるか不安だった。


 俺 「はい」

 深山「もう一回考えてみぃへん?」


 まさかの返答だった。予想していた展開ではなく、少し困惑していた。


 俺 「えっ?どういうことですか?」


 再度、聞き直した。


 深山「いや伊東くんのさ思いもわかるんよね。正直」


 情で訴えてきてるようにも感じた。


 俺 「‥‥」


 深山「確かに、私もさ、休んでる時、もうやめて違うところ行こうと思ってたんよね」

 

 深山は、昨年の12月までは、体調不良で休んでいた。しかし、1月から復帰し、今では代表取締役となっていた。


 深山「でもさ、こんな私でも待ってくれる子もいてさ。うーん、なんだろうな、、、。高山くんとか八神さんとか。高山や八神は、深山を慕う人たちだ。別に私なんかさ、おってもおらんでも変わらんのよね。でも、待ってくれてるってなるとやめられんのよね」


 その通りだろうと思った。


 深山「まぁ、伊東くんもさ、しんどいと思うんよね。でも次やること決まってないんやろ?」


 嫌なところをついてくる。


 俺 「そうです。特別やりたいこともないんで」


 このままだと、流されそう。完全に深山のペースだった。


 深山「勢いでやめたい気持ちは理解できるんやけど、仕事してたらさ、これからも、こういう気持ちもつと思うんよね。その時もさ、同じことしちゃうやんか。だったら、こういう時の対応考えてから、やめへん?」


 俺にとって妙に説得力ある返答だった。


 俺 「うーん、、、」


 上手く返事かできない。


 深山「いやぁ、ホンマに気持ちはわかるんやけどさ。なんていうかなぁ。正直さ、他の人やったら引き留めへんけどさ、伊東くんは必要な人材やからな。"やめます"って言われて、"はい、そうですか"とは言えへんのよ」

 

 顔は、見えないがどこか熱のこもった声だった。俺は、何も言えずにただ黙ってしまっていた。

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