2話
「いやぁ。私ももうこの人の相手するの疲れたんでここに預けに、もとい人員補足ということで連れてきたんです」
ヘラヘラとしてとんでもないことを言っている。
こんな危険物を持ち込んだ張本人がなんの悪びれもせず。
「ここは保育所でも精神病院でも動物園でもないんだが?」
一旦落ち着こうと茶を啜る。
「失礼な!一応そこら辺にいるゴリラ8匹分くらいの頭の良さはあるんだぞ!!」
そもそもの原因が横槍を入れてきた。
そしてゴリラはそこら辺にいない。
真面目に考えてみよう。
ゴリラ一匹あたりの知能指数は70~90。
それを8匹寄せ集めたとなると相当高い数値だ。
しかし、ゴリラで換算すると途端にその価値が下がる。
頭悪そっ。
「北露さんは17歳にして12件もの事件を解決した、凄腕探偵なんですよ。
扱いは面倒くさいですが、慣れれば心強い味方です。」
扱いってなんだ、猿まわしか。反省させればいいのか。
「うんうん、私はやればできる子だとも。
ところでカナエさん、このジジイ誰?」
ブーッとお茶を吹き出した。
ズコーッて転びそうになったわ。
年上相手への態度もなっていないし、そもそもカナエは先に紹介していないのか。
先が思いやられる。
気を取り直してこちらも名乗ってやることにした。
「俺は猪狩 秀次、この事件の捜査を任されている刑事だ。今年で――」
「47歳!」
ビシッとこちらに指を向け、俺の齢を叫ぶ。
それは大変通りの良い声で、室内に響き渡った。
「おうお前の洞察力の良さも推理力も十分理解出来た、その指へし折らせろ」
流石にキレた。