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バカ勇者(♀)とロリ巨乳魔王  作者: あめふる
魔王軍に入ろう!
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まずは形から


 場所は変わり、我らは城内に設置された、教室へとやってきた。ここは、よく分からん頭の良い人が、我ら魔王軍に対して講義を行ったり、社会科見学でやってきた児童たちに対して、使われる部屋だ。

 扉の上のプレートに刻まれた教室名は、魔王教室。我は特に使った事ないが、そう名付けられている。

 スライド式の扉を開いて中を覗くと、そこは学校の教室の物と、ほぼ同じだ。四脚の机が等間隔に並べられ、教室の後ろには各人が使えるロッカー。前方には、一面に張られた大きな黒板。その前には、教壇もおかれている。


「どうしてお城の中に、こんな場所が……」

「我らは、教養を大切にしているのだ」


 我は教壇のすぐ前の席に座り、腕を組んで前を見据えた状態で、魔術師の疑問に答えた。

 魔術師と勇者は、教室内を興味深げに見て回っていて、席についた様子はない。どうやら、スパイらしくその任務を達成しようとしているようだ。感心である!


「……」


 と思ったが、勇者がふと、我の隣の席に腰を下ろした。そして、我に向かって手を広げて来る。


「な、なんだ?」

「ここに、座ってもいいよ」

「我を、子供扱いするな!誰が座るか!」


 背の低さゆえに、昔からよく子供扱いをされる我ではあるが、勇者に甘えるようにその膝の上に座るなど、言語道断である。


「じゃあ、反対で。私を子供扱いして」

「反対……?」

「そう。私が子供で、魔王が大人。大人は子供を、膝の上に乗せるものだよね。だから、魔王は私を膝の上に乗せるんだ」

「我が、大人……」


 それは、魅力的な言葉だった。いや、そんな事を言われなくとも、我は当然大人で、とても偉い魔王だが。


「し、仕方ないな。ほれ、我は大人だからな。……遠慮はいらん。ここに座るが良いぞ」

「わーい」


 我はそう言って、勇者に向かって手を広げた。すると勇者は、はしゃいだ様子で我の膝に座り、そして我に身体を預けてくる。


「何してるの……」


 だがそれは、我の思った形にはならなかった。そもそも膝に乗せるという行為は、体格が大きい者が、体格の小さな者に対してすべき行為であり、我は小さく、勇者はデカイ。我の膝に収まりきらぬ勇者は、身体を大きくずらし、我の胸に後頭部を乗せ、足はイスからはみ出し、ほとんど空中イスのような状態である。足はぷるぷると震えていて、とても辛そうな体勢だ。

 そんな光景を見て、魔術師が呆れて尋ねて来るが、見たままである。


「こ、これはだな……我が大人な所を証明しようとして、膝にのせてだな……!」

「あー、もう最高だよ、魔王のおっぱい!この枕があれば、私はどんな体勢だろうと眠る自信がある!是非、商品化しよう!」


 確かに、勇者の頭は我の胸が包んでいて、その感触を感じているはずだ。我も、勇者の頭と髪の毛の感触を感じているからな。


「……」

「あいたっ」


 魔術師は、無言で勇者の足を蹴り払った。我の胸と、膝に体重をかけていた勇者は、足を払われた事により、危うく保っていたバランスを崩され、我の胸から落ちてしまった。

 バランスを崩した際に、イスに頭をぶつけて、勇者は頭を押さえる仕草を見せる。音が鈍く響いたので、痛そうだ。


「冗談ばっか言ってないで、少しは緊張感を持って。ここは敵地のど真ん中なんだから、私たちはいつ、敵に囲まれて襲われても、おかしくはないのよ」

「大丈夫か?頭、たんこぶになってないか?」

「ん……分からない。見てくれる?」


 勇者は、我の前の床に座り込み、我に向かって頭を差し出して来た。燃えるような赤い髪が目の前に来て、シャンプーの良い香りがする。


「んー……とりあえずは見当たらんな。平気そうだぞ」


 そんな勇者の頭を、我は手で触って確かめたが、たんこぶは見当たらなかった。怪我もないようで、安心だ。


「人の話を、ちゃんと聞きなさい!」


 怪我はなかったが、勇者は魔術師に、乱暴に首の裾を引っ張られて、立たされた。我から強制的に離された勇者は、名残惜し気に我に向かって手を伸ばしてくるが、我にはどうする事もできないぞ。


「ここは敵地!この小さい自称魔王も、魔族で私たちの敵なのよ!敵に頭を預けるとか、隙だらけにもほどがある!この訳の分からないテストだって、こいつらの作戦かもしれないんだから、常に気を張って、警戒を怠らない事!」

「わ、我らは、何もしないぞ……?それは、信じてもらって、良い」

「信用できない!魔族は敵で、滅ぼすべき存在!特に、自称だろうとなんだろうと、魔王と名乗る魔族は、尚の事信用できない!」


 魔術師は、そう言って我を睨みつけて来た。その目には、憎悪が宿っている。

 もう、慣れてはいる。我は魔王で、人間から恐れられる、絶対悪の存在だからな。人間は魔王を恨み、魔王を敵と定め、魔王を憎む。昔から受け継いで来たその伝統は、今も続き、我も人間も、それに則っている。

 だから、恨まれるのはいい。それは、仕方がない。だが、話を聞いてくれないのは、とても悲しい。いくら訴えても信じてくれないと、とても悲しい気持ちになる。


「そ、そうだな……我、魔王だし……我の言葉なんて、信用できないよな……。変な事を言って、すまない。謝るぞ」

「あ……」


 我が項垂れ、謝ったその時だった。

 スピーカーから、チャイムの音が鳴り響き、同時に教室の扉が開かれた。


「皆さん、お待たせしました」


 扉を開き、姿を現したのは、リリだった。リリなのだが、その装いが少し変わっている。スーツ姿なのは変わらないが、首元のリボンがネクタイに変わっている。更に、ズボンからスリットの入ったタイトスカートに履き替えていて、その足を包み込む黒のストッキングを、惜しげもなく晒しているではないか。大人っぽくて、少しセクシーだぞ。靴も、ヒールの靴になっていて、元々高い背が、更に高く見える。オマケに、その顔には赤ぶちの眼鏡が装着されていて、眼鏡の位置を手で直す仕草も、妙に色っぽく感じる。


「リリ。なんだ、その格好は」

「女教師です。これから皆さんには、筆記テストを受けていただくわけですし、まずは形からと思いまして。……どうでしょうか」


 我が尋ねると、リリはその場で一回転して、我にその姿を見せつけて来た。

 確かに、凄く良く似合っていると思う。リリは大人っぽいし、こういう格好がとてもよく似合うのだ。


「どうかと聞かれれば、似合っているとは思うが、す、少し色っぽくなりすぎではないか?」


 特に、タイトスカートのお尻のラインが、我にそう感じさせる。マントを羽織っていれば隠れるのだが、どこへ置いて来たのかそれは装着していないので、ちょっとハラハラするぞ。


「私も、凄く良く似合っていると思う。ストッキングに包まれた足はむしゃぶりつきたくなるような魅力を感じるし、踏まれたくなるような衝動にも駆られるよ。特に、お尻が最高。そのお尻に顔を埋めたい。いや、むしろ顔を潰されたい」


 勇者が、我と同じようにリリの格好をほめたたえるが、我とは違い、具体的にどうしたいのかというアピールが凄い。その発言は、一歩間違えればセクハラで訴えられかねんような、過激な物だ。


「ありがとうございます、勇者様。では、こんなポーズはいかがでしょう」


 その言葉に乗せられて、リリは勇者に向かい、ポーズを取った。黒板に手をつき、こちらにお尻を突き出したうえで、手で尻を撫でると言う、過激すぎるポーズだ。口には眼鏡を加えて、挑発的な目でこちらを見てくる。


「ひゅーひゅー。姉ちゃん最高だぜ。もっと尻を突き出して、スカートをめくりな」


 そんなリリに対して、勇者は口調を変えて、言葉に感情の籠もっていない野次を飛ばして囃し立てた。なんて下品な要求をする勇者なのだ。


「よ、よさぬか、はしたない!」


 我は席を立ち、慌ててリリを止めに入った。


「……失礼しました。今は、それよりテストのほうですね」


 我が止めに入った事により、服装を正したリリだが、時と場合とかではなく、こんな事をリリにはやってほしくないぞ。

 あと、ハイヒールのせいで、我との身長差が一段と広がり、目の前に来るといつもより高く見上げなくてはいけなくなる。我も、ハイヒールを履いたら背が大きくなるのかな……。


「では皆さん、席におつきください。これより、魔王軍採用筆記テストを行います」


 リリがそう宣言して、魔術師は渋々といった様子で、勇者の隣の席についた。警戒しているのか、辺りを見渡したり、机に仕掛けがないかもきちんと調べてから席についた様子は、我らを信用していないと言う意思表示に他ならない。

 どうにかして、勇者ほどとは言わないが、魔術師にはもう少し、我らを信用してもらいたいものである。本当に、我らは勇者と魔術師をどうこうする事は、考えていないからな。


「魔王様」

「ん。なんだ?」

「魔王様も、席におつきください」

「へ?ど、どうしてだ?」

「魔王様にも、同じテストを受けていただきます」

「んなっ。何故だ!?我は魔王だから、魔王軍に入る必要ないぞ!?」

「テストは、常識的な問題ばかり。普段きちんとお勉強していれば、簡単に解ける問題ばかりです。魔王様には己の実力を試す機会として、このテストを受けていただきます」

「そんなぁ!」


 文句を言って、どうにか逃れようとした我だが、結局リリに言いくるめられてしまった。こうして、何故か我もテストを受ける事になり、強制的に席につかされてしまったのだ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 勇者ちゃんめっちゃスケベでカワイイ!なんと素晴らしいガチ百合! ていうか、リリさんエロ過ぎて鼻血が出そうです、勇者ちゃんと2人きりにしたら何かエッチな事が始まってしまいそう!? 魔王ちゃん…
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