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〈トーナメント〉本戦5回戦

「これより本戦5回戦を開始します!赤コーナー10位ヨハン!」


人数の関係上この本戦にはシードが存在する。

そのシードはランダムだが……今回ヨハンにとっては存外嫌な相手でも無かった。


「赤コーナー!1位のこの人です!」


〈ランカー〉1位は会場へと入場するとスっと頭を下げた。


「レフェリーさん、この不確定要素が孕む本戦でボクの1位の座は奪われるかもしれません。なのでそろそろ言っておきましょう。」


珍しく1位が長く喋った事にヨハンもレフェリーも驚く。


1位は今まで絶対に取らなかったフードを取り、笑う。


「ボクの名前は瑞希〈ミズキ〉、真野 瑞希だ。」


その黒い髪を靡かせ、年相応の笑顔で笑う彼はとても1位とは思えなかった。



「今回は……ミズキさん、1位と戦える事を誇りに思います。どうか手加減無きように。」


ヨハンはペコリと頭を下げ、最大限の感謝を示す。


「あぁ、ボクは今日とっても気分がいい。ルウトと言う不確定要素に『僕と似たような育ち』の女の子。それにーー。」


瑞希は観客席の1点を見つめる。



「なぁ、瑞希ってヤツ俺を見てないか?」


「ああ、見てる気がする。」


夏樹と樂は観客席から大人しく試合を見ていたのだがいきなり見られて困惑していた。



「では開始!」


ヨハンは相手が相手なだけに手が出せずに警戒していた。


「君の全力をボクにぶつけるといいよ。ほら?」


瑞希は手を広げ、アピールする。


「じゃあ遠慮無く。〈エンチャント〉」


ヨハンのスタンスは『連射』だ。

それに〈エンチャント〉を乗せることで威力の低さをカバーしている。


「しっ!」


一瞬と思える瞬間にヨハンは3本の矢を放つ。


「だめだめ、そんなんじゃボクには届かない。」


瑞希は体を少しズラすだけで全て避ける。


「くっ!」


ヨハンは遊ばれている様な気持ちになりながらも避ける場所を予想して矢を放つ。


「だいぶマシかな?それでもまだ工夫出来る。」


今度は瑞希もフェイクを入れながら避け始める。

それによりヨハンは回避予想先を狙う事が難しくなった。


「なら!」


今度は右足を狙いつつ瑞希の左側へと回避を誘導し矢を放つが、瑞希が逆に動くため不発に終わる。


「ん、まだ工夫が必要だね。ならボクも少しだけ反撃するよ?」


瑞希はニッコリと笑うと物凄いスピードでヨハンの前まで来る。


「接近戦も学んでおくといいかもね?」


それだけ瑞希は言うとヨハンの腹に手を置く。


「ッ!?」


たったそれだけなのに体全身を衝撃が駆け回る。

そして首へとその衝撃が来た瞬間に乾いた音と共にヨハンは崩れ落ちた。

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