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〈トーナメント〉本戦1回戦

「これより本戦1回戦を開始します!赤コーナー!〈トーナメント〉10位ヨハン選手です!」


レフェリーがコールをすると予選1回戦を勝ち上がったヨハンが入場する。


「青コーナーは初参加!メイ選手です!」


そう言うと芽衣が入場してくるが、どうやら観客としては芽衣の方が物珍しいのか若干盛り上がっている感じがする。


「では……開始!」



私に出来る精一杯の事をする……と言う信念の元芽衣はここまで勝ち上がってきた。

だが……ヨハンはそこまで甘くないのだと芽衣は感じ取っていた。

明らかな格の違い。

明らかな実力差。

それと……戦闘への姿勢が違う。


「でも……やんなきゃね。〈ホーリーレイン〉!」


「へぇ……アンタ〈ソーサラー〉か。」


ヨハンはもちろん予選を見てはいたが芽衣に関してはいきなりの事だった為最後の奇襲しか見れていなかった。

そのため芽衣がスキルを使うまで手が出せなかったのだ。


「なら〈エンチャント〉。」


芽衣の放った〈ホーリーレイン〉が空から光属性の確かな攻撃性を持って降り注ぐ。

しかし同じ〈ランカー〉であるユマがよく使う戦法である為ヨハンの対策は完璧だった。

〈ホーリーレイン〉とひと言に言っても現実の雨ほど激しく降ってきたりはしないのだ。

つまりは経験則で避ける事が出来る魔法。

だが、〈ホーリーレイン〉がユマが使うように強いスキルと言われる所以は相手の行動性能が極端に下がる事にあった。


ヨハンはギリギリで〈ホーリーレイン〉を避けながら芽衣へと矢の標準を合わせる。


ヨハンの攻撃はダニエルの様な一撃が重い攻撃では無く、手数でダメージを稼ぐタイプだ。


「まずは足。」


ヨハンから放たれた矢は芽衣の左足の甲へと突き刺さる。


「ぐぅ!」


芽衣は矢を構わずに引き抜く。


「〈スターダスト〉!」


ヨハンが少しでも回避をし、時間を稼ぐ事が出来るのならば芽衣に取っては上々な結果と言えただろう。

だが……ヨハンの取った選択は芽衣の予想と違った。


「………〈スコープ〉」


ヨハンは避ける事をせず、落ち着いて真っ直ぐに……正確に芽衣の右足を狙う。

そして放たれた矢は見事に突き刺さった。


「っっっ!」


鋭い痛みが芽衣を襲うがこのままでは不味いと考え、少しだけ移動をする。


「判断が遅い。」


続けて放たれた矢は右の太腿へと刺さる。


「次。」


そして左の太腿へと矢が突き刺り……。


「最後……アンタの褒めるべき点は恐れなかった事だ。そこらの〈ランカー〉よりもよっぽど勇ましい。良き冒険者となるがいいさ。」


その言葉を最後にヨハンは芽衣の額を矢で貫いた。


結果だけを見ればヨハンの圧勝。

だが、いい経験だったのだと後日芽衣は楽しそうに……悔しそうに話していた。

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