《トーナメント》予選4回戦
「貴方が美鈴さん?」
美鈴の肩を女性が叩く。
「え、ええ。そうですけど。」
「やっぱりねぇ、私はエコー。よろしくね。」
エコーと名乗る女性は握手を求めてきた。
「こちらこそよろしくお願いします。」
美鈴は握手を返しながら頭を少し下げる。
「この予選貴方なら勝てると思うわよ?いい場所に入れたわね。」
「え?それってどういーー。」
「さて、始まるわ。準備しなきゃ。」
エコーは言葉を遮って歩いていってしまった。
「これより《トーナメント》予選4回戦を始めます!選手は会場へ!」
美鈴はレフェリーの指示に従い会場へ入場する。
この予選には〈ランカー〉である4位と7位が出場する。
情報によれば4位は〈ハイウィザード〉、7位は〈プリースト〉だった。
狙うならば〈プリースト〉だと美鈴は判断するが、そうそう上手くいくのかも分からなかった。
「では……始め!」
美鈴は合図と同時に〈バックスタブ〉で確実に1人また1人の首を切っていく。
決して気が付かれる事もなく、言葉通り〈アサシン〉としての戦い方だった。
美鈴はふと会場を見渡すと先程声をかけてきたエコーと名乗る女性を発見したが……本能がアレはヤバいと警告を鳴らす。
近寄ったら殺される。
気が付かれたら殺される。
そう感じたのは1位と対面した時以来の感情だった。
エコーと対峙しているのはもう1人の女性。
これは装備的に〈プリースト〉だろうと判断する。
恐らくあれが7位なのだろう。
エコーと7位が戦う衝撃で周りの選手が倒れていく。
双方魔法使いなだけあってそれだけ被害が尋常ではなかった。
辛うじて美鈴はその範囲から外れた所にいたので被害は受けなかったが、あの周りにいたら今どうなっていたかわからない。
「最後に暗殺すればいいかな。」
もちろん7位の方を……だが。
エコーの方は何をしても気が付かれるだろう。
だが7位の方はエコーに気を取られており、一瞬だけ近づいても平気だろうと判断した。
こうして美鈴は最後の3人まで残ったが、何分隠れながら隙を伺うのだが一向に終わる未来が見えない。
「……〈アクセラレーション〉〈コンビネーション〉」
自分が出来る最大限のバフをかけ……。
7位を一撃で倒す。
それだけが美鈴に今出来る事だった。
「私は手ぇ出さないからさ、ガブリエル相手してやってよ?」
「ええ……貴方がそう言うならそうなんでしょうね。どうせ貴方には私も……あのもう1人も敵わないでしょうし。いえ、正確には私に関しては決着がつかない……という風な感じですけどね。」
ガブリエルと呼ばれた女性は柔らかく笑うと美鈴の方へ向く。
「さぁ、何時でもいいですよ?伊達に〈ランカー〉やって無いということろを見せないとね?」
「それはどーも。」
それだけ言うと美鈴はガブリエルへと短刀を構え、真っ直ぐに走り出す。
「そんな芸の無いことしても……私は倒せないと思うのですが?」
ガブリエルのスタンスはジリジリ削りながら……自分の防御力と〈ヒール〉による回復で時間をかけて倒す、というものだった。
ガブリエルの少し前まで美鈴が移動した瞬間ガブリエルは〈ネメシス〉を打とうと杖を構える。
が、一瞬スキルの発動に気を取られた瞬間美鈴が消えた。
「え……?」
目標を見失ったガブリエルは一瞬だけ硬直してしまった。
「残念……〈バックスタブ〉」
背後から声が聞こえたので後ろを向こうとすると首が既に宙に浮いていた。
「その慢心が無かったら殺せなかった。やっと暗殺者っぽい戦い方が出来たよ。」
それだけ言うとエコーの方へ向き直る。
「………貴方結構いい性格してるじゃない。」
エコーはニコッと笑うとレフェリーの制止も聞かずに会場から出ていってしまった。
まだ美鈴の頭の中ではエコーが倒れるビジョンが思い浮かばなかった。




