《トーナメント》予選1回戦
「これより《トーナメント》予選を開始致します!!」
会場に司会の声が響き渡る。
「今日まで出来ることはやった……大丈夫大丈夫大丈夫……。」
美鈴が緊張のせいでちょっとおかしな事になっているがこればかりはしょうが無い。
「おっと……すみません。」
「いえ、こちらこそ余所見をしてましたので。」
美鈴に気を取られていると人にぶつかってしまい、謝る。
「ついでなんですが、選手の待機部屋みたいなのってどこにありますかね?」
ぶつかってしまった少年もどうやら《トーナメント》に出場するらしい。
「あぁ、待機部屋ならあっちですよ。」
夏樹はそう言って案内する。
「親切にありがとうございます。では。」
「はい、頑張って下さいね。」
夏樹は少年と別れると美鈴と芽衣を迎えに行った。
予選での美鈴と芽衣のチームは幸運な事に別々になっていた。
美鈴が4チーム。
芽衣が2チームとなっていた。
つまり芽衣の入る場所にはユーリさんが居るということになるのだ。
「そろそろ始まるな。樂はこういうの好きか?」
「ん?あぁ、こっち来る前はテレビで格闘技とか好きだったからな。それなりに楽しみだよ。」
「そうか、良かった。」
夏樹はそれだけ言うと始まるであろう1チームの選手入場を眺める。
大体人数は20人前後ぐらい。
その中には現1位であるマントの人もいる。
俺は見た事が無いが10位のヨハンという人も居るのだろう。
「では……開始!」
レフェリーが開始の合図をすると直ぐに選手は各々戦い始める。
この中で死んでしまったとしても生き返る事を知っている選手は弱いものから淘汰されて行く。
やはり異彩を放つのは1位だろうか?
向かってきた選手を無駄な動きなく、スキルを使っている様子もなく倒していく。
どうやらヨハンと言う人はスナイパーの様だ。
1位を除いて強そうなのは1人しかいなかった。
「くそが!」
選手が剣を持って走ってくるが矢の1本を弓に番えて正確に眉間を射抜く。
あっという間に残り5人まで減ってしまった。
1位は何処吹く風という様子で傍観。
ヨハンも矢を番えながら来る人を待つ。
他3人は牽制しあい、動けずにいる。
1位がフラッと動いかのように見えるとその瞬間1人が壁に叩きつけられる。
他2人を目を疑って体が硬直するがヨハンは当たり前かのようにその2人の眉間を一瞬で貫いた。
「勝負あり!勝者は現1位とヨハン!」
あっという間の出来事すぎて夏樹は目が追いつかなかったのが現実だ。
「こりゃ凄いな。」
「あぁ、ヨハンって人も凄いがそれにしても1位……ここからでも動きが見えなかった。」
「あんなのを相手にするのか……大変だな美鈴と芽衣は。」
夏樹と樂にとって《トーナメント》は所詮他人事。
予選2回戦が始まるまで楽しく2人は談笑をしていた。




