《トーナメント》まであと……
「来週から《トーナメント》が始まるけどお二人さんは大丈夫か?」
夏樹は芽衣と美鈴に向かって心配そうに言う。
「そんなに心配しなくても大丈夫、緊張はしてるけどしてない方が異常だし!」
美鈴は務めて朗らかにそう言う。
「私も大丈夫。ただまだ《トーナメント》に関してよく分かってないのが現状なのよね。」
「え?そうなのか?ならちょっとだけ俺が知っている範囲で説明するか?」
「うん、お願い。」
芽衣は頷くと椅子に腰掛ける。
「まず《トーナメント》の最初の試合は5チームに別れてバトルロイヤル形式……つまり会場に放り込まれて生き残ったやつ2人が本戦である《トーナメント》へ進出出来る。」
「ふむふむ。」
「で、ここが重要だが……そのバトルロイヤルにはランカーが2人入ることになる……。入る順番としては1位と10位が一緒のバトルロイヤルって感じになるな。つまりはこんな感じだ。」
夏樹は手元の紙にサラサラと書いていく。
『1チームは1位10位
2チームは2位9位
3チームは3位と8位
4チームは4位と7位
5チームは5位と6位』
夏樹は少しだけ間を置く。
「ここは不平等にならないようにっていう運営からの慈悲だろうな……。まぁ、とにかく最後の2人になるまで生き残ればいいんだ。」
「ふむ……それだけ聞くと簡単だけどさ……。試合にはあの9位のリゼットさんの様な範囲魔法使いが出場するとなると大変だよね……。」
「そうだな、それが1番の問題だろうな。」
結局美鈴の様な単体には高い攻撃力があっても複数の敵を倒すことに関しては芽衣の方が向いていたりする訳だ。
「だが、本戦は1VS1……何でもありの試合だからこそリゼットさんの様な範囲魔法使いは不利なんだろうな。」
「本戦には出場出来るけど《トーナメント》自体の順位はそこまで……って感じになっちゃうんだろうね。」
「そうだな。」
「うーん……少し対策を考えながらやってかないと……かなぁ。」
芽衣と美鈴はかえって頭を抱えてしまったが知らないよりは良いだろう。
「うん、とても来週が楽しみになってきた。」
夏樹は他人事なので明るい笑みを見せるが2人はそうでも無いらしく夏樹は頭を軽く叩かれたのだった。
「僕が……?そっかぁ……そうだよね、うん!」
少年は赤く染った影を落としながら朗らかに呟く。
「《トーナメント》って強いヤツがいっぱいいるんでしょ?」
少年はおもむろに地面に横たわっている命が尽きようとしている男性の髪を掴みあげる。
「そ……そうです。だかーー」
「そっかぁ……!」
少年は男性の頭をを地面に押し付け綺麗な柘榴の花を咲かせると陽気に歩く。
その歩く後ろ姿だけを見ると酒場へ行った人のように……とても楽しい事をしたかの様に見えた。




