ボス前
「これからが本題なんだけどね?最前線のパーティーとして同行してくれないかな?」
ユーリはサラリととんでもない事を言った。
「ほら、君たちの強さなら最前線でも戦えるし、何より戦いに参加しただけで報酬が貰えるんだよ?」
チラリと芽衣の方へユーリは目配せする。
「私は賛成かな?報酬貰えるなら賛成。」
芽衣の性格上これは仕方ない事だとしても他2人が賛成しなければ過半数を取ることが出来ないことなんてユーリさんも知っているはず……。
ここから何処まで俺たちに有益な情報と報酬を差し出すかによって回答が変わる。
「でね、最前線には勿論強い装備もあれば……レベルだって比較的簡単に上げることが出来たりするんだけど?」
ユーリは美鈴と樂へと視線を向ける。
美鈴は明らかに心が揺れている様だ。
樂はあんまり興味が無さそうに話を聞いている。
「でね、今回の迷宮塔のボスへはなんとランカー1位が来るんだけどーー。」
「はい、行きましょう。」
夏樹の心が傾いたのをきっかけに美鈴も了承。樂は仕方ない……と言うふうに肩を落とした。
「で?ボスへと行く約束をした訳だが基本的には観戦。ちょくちょく手を出しつつも……って感じでいいか?」
夏樹は参加するボスへの方針をまとめた。
「いいと思うわよ?いきなり入ったヤツが目立ったら面倒だし。」
「私は報酬が貰えるなら何でも。」
「俺も別に異論は無い。」
夏樹は1回皆の目を見て心の奥に不満が無いかを探る。
「よし、ならその方針で参加する。たんまりと報酬貰おう!」
「「「おー!」」」
時は少し進み、夏樹達は迷宮塔のボスへと行く為に集合していた。
「おー、集まってる。どの人が1位なんだろ?」
「夏樹はホントそればっかり。」
美鈴が肩を落とすが気にしない。
「よお、参加してくれてありがとな。今回お前さんらのパーティーは俺の指揮するパーティーと連携を取ってもらいつつって感じだ。」
声がした方へ振り返るとダニエルがいた。
「分かりました。では指揮系統はダニエルさんに任せます。」
「おう、任された!」
夏樹は一旦話を区切る。
「で、1位はどの人なんですか?」
「あー……それがな、俺も名前を知らないんだ。どんなやつかは見た事あるから知ってるけどな?」
ダニエルは頭をカリカリと掻き、指を怪しげな人へ向ける。
「あの人だ。」
「あれ……あの人って。」
ダニエルが指指した所には以前迷宮で会った、真っ黒なマントを被った人がいた。
依然として顔は見えず、女性か男性かも分からない。
そんな異質な存在に夏樹は少し身構えたのだった。




