あの頃の
三作目
あの道。あの風景。一部咲きの暖かな季節になると思い出す。
あの頃の、あの恋を。
赤信号の信号待ち。
やはり探してしまう、あの姿。
きっと周りの人からは不審に思われてると思う。
男の人が視線を泳がせているのだから当たり前だ。
けど、もしかしたらそこに居るかもしれない。何気ない顔で歩いてるかもしれない。あの綺麗な笑顔で友達と話しているかもしれない。
そう、思ってしまうのだ。
こんなところに居るはずもない君の姿を。
だって君は...。
青信号になり横断歩道を歩く。
振り返り周りを見渡すがやはり無い君の姿。
とたんに蘇る彼女の言葉と笑顔。
「私のことは忘れて幸せになってね」
彼女の言葉を実行できないでいる情けない僕は前を向く。
そして、前に歩き出したのだった。
なんかモヤモヤする...。