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アメリカ在住、40代のガン闘病生活。  作者: 黄色い万年筆
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第4話 ガンの宣告を受けて:CTCAに初めての電話

ガンの宣告を受けた私はボスと相談。

数日後に迫った日本行きの出張を取りやめる決心をし、

それと同時にいまいち信用のおけなかった担当医から離れるため、

そして少しでも信用おける医者を探すため、

セコンドオピニオンを聞く準備を始めます。

しかし問題は宣告を受けたのが金曜日。

そして仕事から帰ってきたのは5時過ぎだったのです。


家に帰ってきた私は嫁さんと少し話をしました。

そして日本行きを取りやめることを報告。


夕食の後はインターネットで病院の検索を始めました。

幸いワシントンDCに近い土地に住んでいるので、

病院の選択肢はそれなりにあります。

ガンを専門にしている大学病院も何件か車で行ける距離にはあるのです。


しかし、すぐに分かったことは病院を探すのは簡単ではないと言うこと。

まず、どの病院で私のかかったガンを治療してくれるのかを調べなくてはいけません。

ガンと言っても多岐にわたっていますから、先生を捜すだけでも大変。

その病院に舌癌の専門家がいるのかどうかなんて事は分かりませんし。


さらにその時には知りませんでしたが、

仮に話を聞きたい病院を見つけても、

すぐに予約が取れるわけではないと言うこと。

現在お世話になっている先生からの紹介を受けて病院に行く、

と言う形を取らなくてはいけないのです。


暫く検索を続けた後、

一つのページにたどり着きました。

そのページは検索の上位に出てきていて、

1度目を通していたのですが、

距離が近い方がいいだろうと、

当初のチョイスの上位には入っていませんでした。


それはCancer Treatment Centers of America (CTCA)と呼ばれる病院でした。

ガンの治療に特化した病院で、

私の町の近郊にはないものの、

全米で五つの場所にあり、

一番近いところは車で3時間ほどの所です。


ページの右上に電話番号が書いてあって、

24時間いつでもどうぞとなっています。

今日あった一連の出来事に加え、

なかなか実りのない検索作業に疲れて、

とにかく誰かに相談したかった私はさっそくその番号にかけてみました。


電話に出てくれたのは病院の患者対応の方でした。

ラファエルと名乗った彼は私の状況をひとしきり聞いてくれました。

そしてまずはじめに「残念なことになったね」と

慰めの言葉をくれたあと、

落ち着いた調子で自らもガン患者(cancer surviver)である、

もちろん彼自身は医者ではないが、

舌癌の患者さんで、

患部を取り除いた後に舌の整形手術を受けた人を知っている、

等と言うことを話してくれました。

そして、CTCAの概要を軽く説明してくれた後に、

病院では新しい患者のためのオリエンテーションを行っているので、

参加してみないかと言ってきました。


単なるマーケティングの一環と言ってしまえばそれまでかもしれません。

でも、ガンの宣告を受けた患者が、

同じようにガンで苦しんだことのある人に相談できる、

それはとてもありがたいことなのです。

そして金曜日の夜にも関わらず、

次のステップのための段取りをしてくれる。


この会話に感謝した私は、電話を置いた時点で、

オリエンテーションに参加する気になっていました。

我ながら釣られやすい性格です。


それに正直この時点で私のメンタルの容量は限界に近かったです。

学会での発表を終え、宣告、会議の後にボスとの相談、

その間もずっとガンや今後の仕事のことを考えています。

何かしらの解決策が見つかっただけでも

良しとしなければいけないところまで疲れ切っていました。


そしてすぐに土曜日の朝にあたる日本にメール。

癌という事は伏せましたが、

生死に関わる事で緊急手術が必要になってしまったので、

日本行きが不可能になってしまったことを知らせます。

そして夜中まで、

矢継ぎ早に送られてくるメールの対応に追われたのでした。


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