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アメリカ在住、40代のガン闘病生活。  作者: 黄色い万年筆
14/17

第13話 退院までの5日間

3日以降の日程は基本的に二日目と変わりがなかったです。

3日目から担当の看護師さんのシフトが変わって、

キャロルとシャロンと言うコンビになりました。


キャロルはフィリピンの方で、大ベテラン。

シャロンは黒人の方で、

最近こちらの病院に来たと言っていたものの、

それまでも他の病院で働いていたということで、

ベテラン二人組です。

手際も、人当たりも良くて、とても助かりました。


このがんセンター独特のシステムなのかもしれませんが、

同じ看護師さん達が

執刀を行った先生方の患者さんの面倒を見ることが多いらしいのです。


チームの一員と言うほど組織だってはいないものの、

先生の手術の内容や「癖」を熟知しているので、

術後の経過や手術自体に関しての知識も豊富で

話を聞いているだけでもいい勉強になりました。


更にキャロルは療法士さんよりも頻繁に散歩に連れ出してくれました。

歩くためのリハビリということだけではなく、

気分転換になりますし、そして体を動かすことによって、

肩こりや痰の絡みが改善されたので、

とても助かりました。


このあたりに来ると病室での生活にも慣れてきて、

さらにラッキーなことに二日間連続でキャロルのシフトで、

五日目には気にしてくれてシフトでもないのに顔を出してくれたこともあって、

かなりストレスの少ない滞在でした。


もちろん他の看護師さんも良かったですし、

私との相性もあるのでしょうが、

キャロルが担当してくれて、本当に良かった。


看護師さんは数日ごとに変わるのですが、

引き継ぎのミーティングだけではなく、

個々の患者に先生方からのオーダーが事細かく出ていて、

それを新しく入った看護師さんが部屋にあるラップトップで

逐一確認して作業をする、というスタイルなのです。


もちろん人によっては予習をしてこなくて、

私の部屋に入ってからじっくり読むなんてこともありましたが、

皆が同じことをきちんと行ってくれる安心感がありました。


更に多くの看護師さんが

毎回のように行なっていることを説明してくれて、

これも処置を受ける側としてはとても嬉しかったです。


興味深かったのは看護師さんたちにも職種の違いがあるらしく、

キャロルなどは私の想像している看護師さんで、

点滴を替えたり、注射をしたり、色々とやってくれます。


それとは別にテクニシャンと呼ばれる方々がいて、

こちらの方々は体温を測ったり、

シャワーを浴びたりする時に手伝ってくれたりします。

しかし、他の処置が必要なときは看護師さんを呼びに行きます。


ある意味無駄に思えるかもしれませんが、

患者さんの数も多いですし、

人手が必要な時にすぐに集めることが出来て、

意外と効率的なのかなと思いました。


4日目になると退院後に向けてのトレーニングも始まります。

この日の朝に舌に取り付けられていたセンサーも取れたので、

この時点では体についている管も少なくなっています。


1)気管カニューレ(もうどこにも繋がっていない)

2−4)3本のドレーンチューブ、腿のドレーンチューブが吸引機に、更に首に二本のドレーンチューブ

5)胃ろうとそれに繋がる排泄物袋。

6)心電図モニター。

7)脈拍と血中酸素飽和濃度モニター。

8)点滴


こちらの病院のシステムでは

集中治療室を出てから病院の近くのホテルに数日止まって、

家に帰ってからの生活を練習、

その後先生方と面談をしてから晴れて退院となります。


心電図などのモニターと点滴は集中治療室にいるときにしか必要ではありませんので、

気管カニューレ、ドレーンチューブ、そして胃ろうの使い方やお手入れの

トレーニングが始まりました。


気管カニューレはかなり苦労したので、

(これについてはまた後ほど)

それなりにお手入れが出来るようになっていたのですが、

痰がひどく絡んでしまった時用にバキュームポンプを使って

吸い出すという作業がありまして、そのトレーニング。


ドレーンチューブは数時間おきに詰まらないようにお手入れして、

更にどれくらい分泌物があるのか記録しなくてはいけません。


そして胃ろうを使っての食事が始まります。

3日目からは点滴からの栄養補給ではなく、

胃ろうを通しての流動食が始まったのですが、

その時点では点滴のように徐々に流動食を落としていく形です。


4日目からは胃ろうにまとまった量の流動食を数時間おきに流していきます。

これから点滴も使えなくなりますので、

鎮痛剤なども細かく砕いて胃ろうを通して取ることになります。


そしてこれが始まったことにより、

今までつながっていた管も取れて、また一つ前進。

幸い私はそれほど苦労しなかったのですが、

流動食が体に合わなかったりすることもあるとのことです。

私の場合は数日便秘になった後、

その後は下し気味で、一日2−3度トイレに行っていましたが、

整腸剤を取るようになってからは多少落ち着きました。


そして最終日。

予定では5日目に集中治療室を出られると言われていたのですが、

気管カニューレのお手入れに使う携帯用のポンプが

届かないということで待機することになってしまいました。


最終日の看護師さんのミシェルは目つきが厳しく、

うちの子供が騒いでいるのをビシっと叱ったりしていました。

(正直助かった)

でもとても親切な方で、

胃ろうやドレーンチューブの注意事項をおさらいを

自ら進んでしてくれました。

そんなこんなで長く感じたICUでの生活は終りを迎えるのでした。


久しぶりの投稿になってしまいました。

年末年始は日本に帰り、

去年キャンセルした講演会などを行ってきました。

まだ体力も免疫力も本調子ではないので、

案の定日本に帰ってすぐに風邪を引き、

更に講演会前4日間は

ずっと会議でしたので、

咳と喉の痛みとの戦いでしたが、

それなりに上手く行ったのではないかと思っています。

これでやっと一段落着いた、と思いたいところです。

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