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幽体離脱

 「どうぞよろしくお願いします」

 「は?」

 誰もいないはずの自室で笑い転げていたら、いきなりの声に目が点になった。

 というか何をよろしくされるんだ?

 というかいつのまにか謎空間にいる。え?なんで?

 一瞬焦るがこの空間に見覚えがあった、ここは走馬燈地獄な死後の空間だった。

 でもスグに落ち着けた。見覚えのあるゲームが大画面に映し出され、大好きだったマンガやらがそこら中に積み重なっていたからだ。

 てかこの組み合わせ的にわたしの私物?

 こんなことをするのは女神様しかいない、謎の信頼と確信。

 ということは女神様に呼ばれた?あれ?わたし突然死?

 でも目の前にいるのは見知らぬ赤毛の女だった、見た感じ10代後半か?

 誰だろう?美人だなとジロジロ見ていたら、ニッコリ微笑まれ会釈をされた。

 「はじめまして、シャルロットです」

 「は?」

 「お久しぶりです、女神です」

 いきなり背後から現れたのでビックリした。お茶目だな、キャラ変わってない?

 「うわぁぁ!え?なんで?どゆこと?」

 「お別れの時少し間があったでしょ?3話の最後です、覚えてますか?あなたには嫌がらせと言われましたが、私頑張ったんですよ」

 「えーだって、自慢するだけして中身を教えてくれない言い逃げかと思うじゃん」

 「あの時他の神様にバレない様に細工してたんで余裕なかったんですよ」

 何が何だか?

 女神様の存在感に押されているが、シャルロットと名乗る女性は明らかに今の8歳であるわたしより年上だし顔も微妙に系統が違う?

 「姿は異なりますが、その体の前の持ち主ですよ」

 わたしの疑問を読み、女神様がこたえる。

 「あんたシャルロットなのか?」

 「はい、女神様のおかげでこうしてお会いできて嬉しいです」

 「ごめんな、助けられなくて」

 目頭が熱い。

 「ごめんな、体も親も奪い取って」

 まともに顔を見れなかった。

 「返す、返したい」

 言いたいことは山ほどあった、でも一番言いたい言葉を絞り出すので精いっぱいだった。

 「残念ながらそれは無理なんです。わたしはもう違う存在なのですから」

 「なんでだよ?なんだよそれ」

 アッサリな態度に憤る。

 「だってわたしもう生まれ変わってるんですもの」

 「え?なんそれ?わけわかんねぇえ~ウガー」吠えた。

 「まぁ、お茶でも」

 女神様気が利くなぁってそれより説明プリーズ!


 というわけで説明タイム。

 シャルロットの魂は資源に還ったけど転生したそうな、別世界に。それを探し当てた女神様がチョイと弄って前世の記憶を引き出して連れてきたそうな。

 「それに異世界憑依も転生も死ぬ運命にある人物にしかできないって言いませんでしたっけ?…言ってない?ごめんなさい」

 おおおおい邪神!初耳だよ。

 助けきれなかった、奪って成り済ましたとか鬱鬱だったんですけど?

 「そこまで気に病む必要はなかったのです、あなたの罪悪感の大半は独り相撲でしたね」

 待て!聞き捨てならんぞ邪神。そういう問題でもないよな?なんかヒドクないか。

 愕然とするわたしにフォローが入る。

 「あのまま死ぬだけのわたしを助けてくれてありがとう、大好きだよ」

 シャルロットから抱きしめられた。

 いいのか?許されていいのか?こんなわたしに礼とか好きとか…いいのかよぉぉ。

 心が軽くなっていく、わたしを追い込んでいた胸の奥のザワメキが消えていく感じ。

 「念のために仕掛けを作っておいてよかったですわ、あがめたまえ私を」

 つくづくキャラ変わってないか?やっぱ邪神にクラスチェンジしたんだろ。

 「失礼な。あなたの趣味の世界に堕天もとい宗旨変えしただけです」

 大丈夫か?この女神。

 いつかこの女神が作るであろう世界が心配だ。

 「わたしの創世の番が来たらあなたのこともよんであげますよ」

 タチの悪い勧誘をされた…考えさせてくれ。

 「さてこの空間は長く開けません。そろそろお開きです」

 突然切り替わる女神様。

 そして空間の色が消えはじめる、早いよ。

 「これ以上は私の立場が危うくなりますので」

 「そっか、色々ありがとうございます」

 色々聞きたいことはある。でも一番聞きたいことを教えてくれた、自分の立場だってあるだろうに。

 満たされ過ぎて、疑問を強引に聞こうという気にはならない。

 わざわざ会いに来てくれた2人に感謝だ。

 「シャルロットの新しい人生は幸せか?」

 「はい、おかげで楽しく過ごしています」

 「よかった」


本当は罪悪感を持ったまま立ち直るのもいいかなぁと思ったのですが、今回はこの路線。

ある意味台無しなんですが、暗過ぎるのも救いがないので。

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