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女神様のサービス凄過ぎだよね

 シャルロット、この体の元の持ち主ね。

 5歳の時事故で行方不明となったところを人買いに連れ攫われ僻地に行っていた、それから紆余曲折な波乱万丈で、最近ようやく都に帰って来たところだった。

 見た目やスキルのおかげで大事に扱われてきたから、受けた傷はさっきの男からのくらい。

 というか唯一受けた暴力で死ぬとか…。

 ごめんね、間に合わなくて。死んだからって体を奪うつもりじゃなかったんだよ、わたしは共に生きるつもりで来たんだよ。

 異世界に来た感慨よりも後悔が先に来る。

 …それでもこのままこうしているわけにもいかない、逃げなくちゃ。

 1人半殺しにしたし、奴隷のままとか冗談じゃないし。

 一番いいのは両親に引き取られること。そのためにはどうするか?

 幸いというか好都合なことに、現在わたしのことを探している人物がスグ近くにいる。

 その人物は母親の元執事。行方不明になった公爵令嬢を、暇を見つけては探してくれる優しい人。

 『爺や』と呼んで懐いてたから面識もある。

 更にわたしの容姿は母親にソックリらしい、もちろん美人な。だから上手く行けば、勘付いてくれて保護してくれるかもしれない。

 ターゲットロックオン。

 

 隷属の腕輪を外す。

 奴隷商が奴隷を服従させるための魔道具。

 こんなのあるとか流石は異世界って感じだけど、怖いね。

 ちなみに所有者オンリーの機能なため、さっきの男に反撃できた。

 腕輪の鍵の場所はもちろん『世界の知識』で解決。

 これで魔法も使えるようになったわけだけど、魔力に慣れてないから扱いが微妙、イザという奥の手にしよう。

 なにしろ女神様にして頂いた『肉体補助』がまだ効いてるみたいだしどうにかなるさ。

 …っていつまでわたしの体は赤く輝いたままなんだろう?

 これいつまで続くの?焦る。人前に出れんじゃん。

 姿見に映る自分の姿に更に違和感…アホ毛が生えとる。

 なんじゃこりゃ!?

 手で触ると割とハッキリした感触でまるで角っぽい?

 抜くのは痛そうだからとりあえず、押さえつけようとしても折れない…しょうがないからたたんだら赤い輝きも消えた。

 たためるんかい!

 お?角を立てる、全身が輝く。たたむ消える。

 …深く考えないようにしよう、いつか効果も切れるかもしれないし、便利だし。

 うーん、微妙な気分に緊張感が削げる、女神様の学習意欲に感心しておこう。

 

 というわけで酒場に向かう。

 現在爺やさんはわたしの情報収集をするためにそこにいる。

 どんな出会い方がいいかな?幾つかパターンを考えるけど、とにかく会話する状況に持ち込まねばならない。

 それ前提な。

 でも酒場には入れないし、出てくるのを待つしかないし…とりあえず出待ちかね。

 脱走もまだバレてる感じがなく、街の雰囲気も静かなもので、上手く行き過ぎ。

 焦る気分がカラ回るというか盛り上がりきれないという複雑さ加減。

 あとは出会ってから考えるかなぁ、顔の件があるし『世界の知識』もあるし、スキルも証拠になる。行き当りばったりでいいや、選択肢もないし。

 待つ時間というのはもどかしい、前世ならスマホなんだろうけどさ。

 丁度いいから魔力に慣れようと思った。

 なにしろ扱いに慣れてないから制御できるか心配、だって威力半端ないもん。

 『世界の知識』で知り得る限り…試し撃ちというか実験したいけど、空き時間だからって軽い気持ちで使うものじゃないね。

 ヤバイわ。

 この世界の場合魔法もスキル制になっているから、使えない人の方が多いんよね。つか威力半端ないからこんなの日常茶飯時に使えてたらとんでもないことになってんじゃないのかな。

 もし前世の世界に魔法があったら、アノ世界の文明ってばあそこまで進化する前に人類滅亡したりすんじゃね?

 それはともかくこの世界において魔力の存在は確立しているため魔道具文化というのかそれなりに発展してる。だがアニメはない!ゲームもない。

 マンガはあるにはあるようだ、いつか開拓しよう。

 印刷もあるみたい、やはり文明の発達って前世の世界と比べると歪?そもそも身分差があるからなぁ異種族ともいるし。

 それにしても魔力の存在を知覚できるのは不思議、生前にはない感覚。

 異世界人になったんだなぁ。

 待ち時間を潰す間、魔力を感じる事に集中する。なにしろ慣れないし、気持ちが落ち着かんのだよ。

 スキルがあるせいか、なんとなく魔法の使い方も分かる。

 これが違う世界…違う人間になったってことなんだ。

 実感に圧倒された。

 酒場の外壁に体育座りで寄りかかる。

 綺麗な星空だな。

 又考えてしまう。わたしシャルロットになっていいのかな?

 異世界に来たっていうことよりも、申し訳ない気持ちが大きいし抑えきれない。

 シャルロットの最期の言葉が『助けて』か…。

 涙がこぼれた。


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