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ロリにやられた

 発案をお父様にさせたのいいけれど簡単に進む話でもなかった。

 孤児院案は平民向けという着地点でまとまる。

 というのも貴族の赤ちゃんを集めるのに孤児院はどうかという話になり、まぁそれは前もって考えていた学園という名の保育園創設で英才教育とコミュニティの場にすると提案はしてみたのだけど…。

 あまりいい顔をされない。

 それに貴族議会でそればかりを題材にするわけにもいかず、あまり話が進展しない。

 親の責任、貴族の矜持、または誰が責任を持つのか?誰がそれを行うのか?といったことを繰り返す牛歩。

 まるで有耶無耶の内になかったことにしようという雰囲気。

 ちなみにお父様が発案と責任、推進を一手にしちゃうと、痛くもない腹を探られるようなやっかみとか貴族間のしがらみがあって主導するわけにもいかないという権力バランスの面やそもそも忙しさから無理とかで問題があったのだ。

 困ったね。

 そりゃ転生者以外の子にも同じ制度を与えなきゃいかないのだからはじめから問題があるんだよね。

 そういうのもあって親が子を気味悪く等くだらない、一時的な気の迷い、血の相続こそが義務であり気にするなと反対する者もいたりした。

 確かに放っとけば時間が解決したり、転生者が成長して気にならなくなるかもしれない。でもなぁ心に傷がつくんだぜ?それにもしもだって考えられるんだよ。

 めんどくせー、現時点での転生者達がどうしてるかというと無事ではあるが生家で気味悪がられたりしてるそうな。

 このままだと孤児院案は遅々として成立し、学園案はお流れになってしまう。

 今!赤ちゃん達をどうにかしないといけないのにだ。

 思えばわたし自身が、お父様に提案とせっつくくらいしかしてない、それも気にはなっていた。

 子供だからとお父様任せにしてるのも申し訳ないし、無責任だったか。

 やはり自分が動いてこそだよな。わたしにできることってなんだろう?

 議会に出るなんて子供だから無理だし、具体案を煮詰めるのも無理がある。

 味方を増やす方向性しかないねぇ…そうと決めたら、王弟ランスさんをはじめ有力貴族に直交渉で呼びかけの機会を作ってもらおう。 

 ごめんお父様、また無茶振りします。


 「お父様!」

 「なんだい?シャル」

 例のごとく休日のお父様は狙われる。テラスで優雅にハーブティーと共に寛いでいらっしゃった…んだけどねーごめんよ。

 孤児院案の詳細を煮詰めるとか余分な仕事で結構お疲れなパパ、普段は前髪をあげてるんだけどオフっぽくて素敵よ。

 そんなカンジなお世辞から入りできるだけ労る、そして本題にはいろうとしたんだけど。

 「孤児院案を成立して頂きありがとうございました」

 「国家事業として取り組んだ場合将来の人口増加や人材の充実につながるし、各種問題を解決するのにも意義がある良い提案だった。むしろありがたいほどだ」

 「お役に立てて何よりです」

 お父様がわたしの髪を撫でる、伸びた長さを実感するように。

 「シャルを捕まえていた奴隷商を摘発した余波で色々起こったよね、それの解決にも繋がった」

 「そうなんですの?」

 世界中に散らばる統一王の血を引く娘を奴隷にしたんだから、各国の王家やそれに連なる方々の逆鱗に触れた模様で、粛清が起こったとは聞いていた。

 なにしろいくら金を持っていても平民は貴族に逆らえないのがこの世界。

 わたしは悪くないよ〜。てか大事になったんだよね。

 取り潰した奴隷商を国営にしたりしたせいで、業界で問題が起こっていたそうな。

 「そういえば最近おもしろい奴隷商に会ってね。シャルの案を聞いたら、孤児院出身者に専門技術を教える学問の場を作ってみたいとか話していたよ。シャルの言っていた学園制度に少し似ているかな」

 この世界に学校的な制度なんてない、平民には徒弟制度から来る学習の場くらいなもんだ。

 ということはそんなこと言い出すなんて、もしやその人ってば憑依者か転移者かも?

 「どういった方ですの?」

 興味を覚え聞く、するとお父様は眉根を潜めた。

 あれ?なにか変なこと言ったかな?

 「会わさないぞ。平民ではあるがスキル持ちでなかなかの人物だが、不細工でデブでハゲで水虫だそれに奴隷ハーレムとかしている男の屑だからな」

 オヤジー!どうしたぁ何を言ってるんだ?

 どうも嫌いっぽい?変に興奮してる、微妙に支離滅裂。

 「お父様?」

 「シャルがあんな男に騙されちゃいけないから、教えない」

 「逆に気になる」

 「のわー失敗したぁ!」

 「もうそれいいから…もしや何かありましたの?」

 ビクッとした。貴族議会議長がそんなバレバレな態度でいいのか?

 「実は…怒らないで聞いてくれ」

 とりあえず無言でうなずく。

 「婚約者候補なんだ…」

 「は?」

 「アノヤロー!とんでも条件クリアしやがって〜」

 色々何やらあったぽい、初の婚約者候補なんだと怒るどころか戸惑う。

 ていうか不細工でデブでハゲというのはちょっと引く。それに奴隷ハーレムかぁ、一応この世界一夫一妻制が基本、ハーレムとか王様でもしてない。

 更に前世日本人の感覚だから引く。

 候補だからまだ未確定ではあるんだけどさ。

 うわぁ〜気になる。

 何の話をしに来たのかわからない事態になった。

 

 この世界にはダンジョンというものがある、それも複数。

 そこを国とする所や封印している所もあれば、探索して財を成せるように開放された所も数多くあるのだ。

 なぜそんなダンジョンがあるかというと、ぶっちゃけこの世界を作った神様の趣味なんだろうなぁ。

 一般的に言われてるのは地底に封じ込められた邪神の瘴気が漏れる場所と言われてはいる。

 ダンジョンにはモンスターも多いため地上に溢れないように駆除する必要もあり、その素材がお宝となるので探索者という生業が成立していた。

 なんでいきなりそんな話だったかというと。

 我家の領地にもダンジョンがあって、そこで大規模なモンスターの発生が起こりその解決に婚約者候補である奴隷商が一役買ったのだとか。

 そのご褒美がわたしなんだって。

 正直エーッて気分。

 でもまぁ婚約者候補になるだけで我家との関係が強固だというアピールにつながるので、商売的には美味しいからそれだけでも旨味ある。

 それに奴隷商という業界を崩壊させたキッカケの人物との縁てことで、体面的にも相当アピールができるはずだとお父様から必死に言い訳られました。

 微妙な気分だけど人物は気になる、来訪者かもしれんしね。

 さっそく呼んでもらいました、流石大貴族躊躇なく呼びますね。

 そしたら1時間で来たよ、いきなりなのに。

 わたしはというとその間妹と会話。

 本題である味方を増やすための直交渉は次回持ち越しに。


 奴隷商が姿を現す。

 お父様のお話と違い、まだ若く20歳前後?スラリとした鍛えている体。水虫はわからない。

 どうやらお父様の冗談表現で、実物はなかなか見目良いじゃん。

 顔も自信家っぽいドヤ顔だけどハッキリした顔立ちでなかなかハンサム。ただし好みじゃない。

 だけど目が合った途端クラっとした。

 強者に酔ってる自信溢れた眼差し、まるでわたしを食べようとする嫌な目の光だ。

 それなのに胸が高鳴る。

 逞しさが急に好ましく思えだす。

 彼は来訪者?心強いわたしの同胞 …味方…。

 ようやく会えた、嬉しい。

 急激に相手への好感が溢れる。

 ステータスを見る、よかった来訪者だ嬉しい。

 でもスキルに「チャーム」があった。

 …不覚…そう?

 でも強い人って…この世界に来てはじめてわたしより強い人に出会って温かい気持ちになれた。 

 違う。

 気持ちの悪い安堵感に染まってしまう。

 同じ来訪者に会えた、この人なら安心できる。

 出会う前の危機感をバカバカしく思った、でも胸の奥がチリチリする。

 わたしなにかおかしい?

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