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おおごとにしてみた、もう隠居したい

 「オレ…クラスのみんなを見捨てるなんてできない。だって友達いたし、そりゃ嫌な奴もいたよ?だけどさ知ってる相手じゃん」(以下赤ちゃん言葉省略)

 翔太達はクラスの大半が巻き込まれた事故死だった。

 知り合いが沢山来てるんだよね。

 「例えイジメられてても?」

 「いやイジメられてねーし」

 「嘘!オタクのくせに?」

 「今時オタクだからってそこまでイジられねーよ」

 「冗談よ」

 小さい子の仏頂面はカワイイものね。

 結局助けることになったか。

 「そうと決まれば…」

 「決まれば?」

 「ジャンヌは役に立ちそうにないから、わたし1人でやんのかぁウゲ〜」

 「す、すいません」

 「冗談よ。とりあえず翔太の存在は秘密でいこうか」

 「なんで?」

 「色々理由もあるけど、保険?それに性転換したヤツってどう思われるでしょぉ?」

 「おなしゃすお姉様」

 「姉の優しさ〜笑い。でもこれでますますわたしに逆らえないわよねぇ?」

 「おに!」

 「この世界に鬼はいませーん」

 鬼神族はいるけどな、ちっちゃい角ていうかむしろタンコブぽいのがある位しか見た目変わらんから異民族レベルだけど。

 そぉいや鬼神族になった来訪者いたな、種族固有スキルで選んだんだろうか?

 とりあえず…わたしの正体がバレたとしても、ジャンヌは両親の元に残せるよう頑張ろう。


 こうして孤立奮闘、繊細かつ大胆、隠密、根回しな人助けが始まった。

 まず最初にしたことは、お父様にわたしが奴隷商に捕まっていた苦しみをアピールし、人身売買を防ぐ孤児院の創設案を出すことだった。

 なにしろ貴族以外にも転生者いたし、いるかもしれないから。それに取っ掛かりとしてわたしの経歴が活かせるしで。

 でも父任せにせず情報収集も兼ねてわたしも動く、各所に好感度チェッカーと世界データを駆使した三顧の礼をしまくる。おかげでこの国の中枢はわたしにメロメロ…新しい制度を創り出すことに成功する。

 案の内容だけど、苦しい家計の家から将来の労働力として契約金という名目で子供を引き取る。そして公共事業としての孤児院で職業訓練をしながら働いてもらうことで利益を上げ、将来的には独立を目指すというシロモノ。

 体裁を取り繕ってみたし報酬があるということから、人買いに売ったり捨て子にしたりするよりはいいかなと考えてみたんだけど、どうなるかねぇ?

 それにしてもやっぱり王制っていいわぁ、階級制あると無茶振りに対しても動きが早い。

 というかこの世界はスキルがあるおかげで、上位スキル所持貴族→下位スキル所持貴族→スキル所持平民→平民て感じで上下関係に明確な差があるから、命令が通りやすい。

 ちなみに奴隷商自体は『わたし』を密売していたということで、密売ルートに携わっていた数カ国の違法な商人は壊滅的ダメージを受け消された。

 そりゃ各王国王家にもつながる『王族の血を引く娘』を密売しちゃったんだもんねぇ。わたしは悪くないよ?

 奴隷商とか商人といえば金で権力に幅を利かせるイメージだけど、この世界だと金なんていざとなればスキルで引っくり返せるから、貴族は賄賂とかで銭ゲバってカンジではなく割とクリーンな政治。

 それに最近は奴隷商も商売形態を変えてきていて、人材派遣ぽくなっているらしい。

 おかげでこの取り組みでも、孤児院で人材として成長してからそちらに登録というマネジメント面での優位性により双方合意している。

 

 そして次にというかほぼ同時にしたことは学校の創設…という名の貴族子女の幼児虐待及び放置子を全寮制による生活で面倒を見るというもの。

 この世界には貴族向けの学校など無く、個別の家庭教師のみだったのだ。

 それはイカンよ!乙女ゲー必須の学園がないとか考えられないしおもしろくもない。

 めちゃめちゃ豪華にした、だって貴族の学校だからお金がわんさか集まるんだもの。もちろん講師陣もよ?優秀な人達ばかりよ。

 おかげで良家の子女も教養のみ成らず学問を学ぶ場として通うことになった、もちろん交流を深める場にもなるって後押ししたら皆もろ手を上げて賛同したわ。

 ちなみにわたしはこの学園では生徒兼理事になる予定。

 

 やり過ぎたとは思う。

 でもどうせやるならでやっちゃった。特に趣味的な方面に関しては。

 おかげで今やわたしを知らない人間はこの国にはいない。

 というのもわたしの経歴やキャラをウリに孤児院と学園の両プロジェクトを推し進めたからだ。

 もっとも世間一般的には、10歳の子供が発起人で実働は公爵である父が行ったという認識だから、シンボル的に見られてはいるけど。

 更に他の国でもこのプロジェクトを取り入れる動きになり、わたしのこともついでのように世界中に知れ渡ってしまった。

 コッソリ暮らすのはもう無理かなー、変な奴に絡まれないといいけれど。

 それに来訪者の中には、わたしが異世界憑依者だと気付く人もいるんじゃないかな?

 …そして両親は真の大貴族だと思った、10歳の我が子が成した偉業に気味悪さを表に出すことはなかったのだから。察するところはあるのだろうけどスルーしてくれた。

 利益国益権力それらを扱い増やしていくのが貴族であり、有益な人材であり一員ということか。

 最近怖くて両親に好感度チェッカーができないでいる。

 内心どう思われようと、妹や弟がいるから1人位(本当は妹もだけど)気味悪いのが居てもいいよね。

 だからジャンヌには徹底して幼児プレイをさせた、バレないように、ジャンヌだけでも本当の親子に見えるように。

 言ってなかったけど弟もスグ誕生しました、めでたいね。まっとうな子供だね跡取りだしよかったよアハハ。

 あーもーわたしよくがんばったー。

 急ぎ足の仕事は2年で済んだ、我が身を色んな意味で削りながらね。

 もう隠居したい。


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