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赤ちゃんプレイしなくてよかった

 最近赤ちゃんの捨て子が多いらしい。

 そんな噂を聞き最初はかわいそうだねぇしか思わなかった。

 でもアッ!と嫌な予感しかしなかった。

 ことの始まりはお父様の歓談の盗み聴きというかたまたま聞き。

 なにしろ情報を制した者が勝つんだっけ?わたしは何に勝つんだ?とにかく情報は大事だよ。

 醜聞。とある伯爵家の子息の様子を気味悪がった奥方がノイローゼになり捨てたとか。

 かと思えば余所では病死とされているが殺したのではないかという話まで、それが複数も。

 たまに天才!なんて話もあるにはあるけど。

 普通の赤ちゃんじゃない存在は世間を賑やかにするどころか、大人達を苦しめ戸惑わせているようだった。

 ひどいのだと世界の終わりだとか魔物が生まれとか騒ぐ人もいるとか。

 ウチの妹も気持ち悪いもとい普通じゃない、もっともわたしのおかげでバレていないみたいだけど、バレてないよね?仮にバレそうになっても好感度上げまくってるからゴリ押しで誤魔化すけどさ。

 …これって転生者達?

 馬鹿だなぁ、これだから転生はヤバイことになるって気が進まなかったのに。

 最初何もできない赤ちゃんよ?羞恥プレイなんてお金を積まれても身が保たないってば。どう頑張っても怪しさ満載だっての。現に翔太も相当キツかったと言ってるし。

 シャルロットに憑依した自分にガッツポーズ。危なかったわぁ〜冷や汗る。

 でもこれって微妙に他人事ではない、知らん間柄だけど前世持ちという仲間の問題。

 それも既に捨てられるどころか殺されてるっぽい人もいるねぇ…。

 でも平穏無事に生きてるわたしらには関係ない…。

 うまくやれないヤツが悪いのだ…。

 良心の呵責が…。

 ちなみに翔太の神様は15人程全て転生者として送り込んだらしい…半数もか。

 わたしがシャルになるまでにこの世界には転生者8、憑依者4、転移者6知るだけでも18人。わたしの後に12人でその内1人は翔太。

 18人の2年前までの所在は分かる。

 転生者…少なくとも8人の赤ちゃんか…。

 でも10歳の子供であるわたしに何ができる?

 助けようとすればわたしは悪目立ちすることになる、おそらくあまりイイ事というかロクナ事にならない。下手をすると身バレするかもしれない。

 シャルロットの人生をおかしなものにしたくないし壊したくない。

 

 「オネェーチャン?」

 ジャンヌの声にハッと我に返る、考え込み過ぎて全然気づかなかった。

 笑顔を貼り付ける、シャル様スマイルは好評なのです。

 でもうまく笑えてる気がしない。

 相手の中身は翔太とはいえ、小さい子の顔は無邪気で…だから余計に胸が痛む。

 笑顔のまま変な間を空けてしまう、うん失敗。

 「どうしたんだよ?シャルねぇさん」

 前世口調で心配されると、前世持ちの人を見殺そうかどうしようかと考える自分の浅ましさを突かれた気になった。

 ジャンヌも巻込むことになるのよね。

 すかさずそんな言い訳を作る、将来への予防策も考える。

 この子さえいれば…勇者さえいれば、この世界で何があっても対応できるはず…例え他の転生者がどうなろうと。

 ズルイことを考えたせいか、逆のことを思い出す。翔太の勇者になりたいって理由…いきりたつ姿。

 『サブイベントに一生懸命な勇者じゃなくて、世界を救うことだけに一生懸命な勇者をしたい。昔のゲームは余分なものって少なかったってのもあるけどさ、そんな勇者が好きなんだよ。困ってる人を見捨てずに一生懸命ただ戦うみたいな勇者になりたいんだ』

 ヲタクの一言が重いわぁ、クッソ中2病め。

 そんなこと言ってる奴にズルイことさせられないじゃん。

 たぶん翔太なら賛同するだろうし、仮に教えずに転生者達を見捨てたら恨まれそう。 

 微妙な姉妹関係だけど、シャルロットとジャンヌという姉妹の関係も壊したくない。

 「ねぇジャンヌ?転生者って親にバレないものだと思う?」

 「オレなんかやらかした?」

 「口調!壁に耳あり障子にメアリー天井裏には忍者よ」

 「ごめさ、おネーちャん。気をつけ」

 わかればよろしい。

 最近では念の為お嬢様口調な姉妹関係を徹底しているのです、もっともまだ舌っ足らずだけどさ。

 以前はほぼ毎日反省会してた、だいぶ減ったけどね。おかげで普通の赤ちゃんぽいのだよ。

 「転生者がバレバレで捨て子や殺されたりしてるみたい、放置子とか幽閉もね」

 「まじ…ホんトに!?」

 「助けたい?」

 「ん!たすけぅ…」

 ジャンヌは言い淀んだ。

 当然ね、わたし達はまだ子供。その上正体がバレたら同じ目に遭いかねない。

 だからジャンヌとはリスク対策の話を結構してる。

 よかった脳筋単純じゃなくて、スグに事の重大さに気付いてくれて。

 この世界に来た人達はお互いのことすら知らない。それに前世どんな人物だったかもわからない、中には知り合い同士がいるかもしれないけれど。

 ただ自分の他にも来訪者がいるということしか知らない。

 もし変な野望を持つ人物がいたりしたら目もあてられない。

 リスクが高過ぎるのだ、いくら特別な能力を神様から頂いているにしても。

 だから普通に生きるのが一番。自衛の力くらいは隠し持ってるにしてもね。

 本当はジャンヌにだって勇者のような生き方じゃなくて、平穏で普通の姉妹みたいな生き方をして欲しい。

 2年も姉妹してれば愛着湧いたしね。

 どんな答えを出す?姉はあなたに任せたわ。

 困った時は、自分で決めない。…とか言いつつ決まったようなもんだけどさ、あ〜あ。


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