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死後のわたしと、女神さまとの出会い

 死んでからのわたし。

 ただ意識があるだけだった、手足を動かそうにもないぽい。

 繰り返し走馬燈を見せられるだけ、ただひたすらに。

 最初は死ぬ直前の恐怖や苦痛なんかの再現でパニックになったけど、もはや何周したのかわからないループ地獄に流石に慣れた。

 いまや苦痛。特に黒歴史で、なにこの罰ゲー。

 享年17歳とはいえそれなりに色々あった、割と波乱万丈系?

 生前のわたしという人間を一言で表すと、転落お嬢様系ヤンキーというのかな?それともイタイマイルドヤンキー?隠れオタヤンキー…やめようキツイ。

 両親には申し訳ないことしたなと思ってたし、もうすぐ高校3年だしそろそろ別キャラ目指そうかなと考えちゃいたんだけどね、死んでしまった。

 でも後悔はしてない。わたしはわたしらしくなれたと思う。

 だけどやり過ぎたよね、それは反省しとこう。

 グレてゴメンというより死んじゃってゴメンだな。両親に申し訳ないとつくづく思い知らされる。

 それにグレたコトでマンガアニメゲームが大好きになったんだ、それはむしろ良かった。

 グレるより前は前近代的にそっち方面のカルチャーは一切見たことなかったからね、押し付けられてたクラシックとか歌舞伎とか子供の趣味じゃねぇよ。

 だから染まるの早かった。

 オタ趣味友もたくさんできたし楽しかった。

 でもアチコチで喧嘩もしたっけ。

 弱い自分が嫌だったから武術も鍛えたんだけど調子にのり過ぎたな。

 だから実際の死因は建物の倒壊によるものだったんだけど、その前に腹部を刺されたんだよね…アウトだわ。

 というか告られたのを断ったら刺されたんだよ、こっちには恋愛感情はなかったんだけどなぁ。そんなものはマンガやゲームで見るだけでよかったのに。

 流石に醜聞過ぎる死因だ、ごめんなさいお父様お母様と清純ぶって謝罪。

 本音はというとわたしは悪くない、巻き込まれたんよ申し訳ないではあるにしてもだ。

 もし次があったらヤンキーになんてならないからね、なんてね。

 それにしても走馬燈よりアニメ見たいなぁ、色々未練はある。

 あのアニメやマンガの結末どうなるんだろう?死んで諦めがついたのかそこまで気にならない…嘘、もっと愛でたかった。

 あの話とか主人公と年上の彼氏はどうやって?あとどのくらいで引っ付いたんだろう?焦らし過ぎだよわたしがもう見れないやん。

 フェイバリットな推しキャラに未練タラタラです。めっさハマってるマンガあったんよ。

 !アカン、見られたくないヤツ鬼過ぎる。

 ポスターが壁中、抱き枕にシーツ…部屋に鍵つけて何人足りとも進入禁止にしてたけど、鍵外されてるんだろうな。

 不良ごっこしてたから、家の者にも趣味の物は隠していたのだよカッコつかないし。

 せめて趣味を知っている一部の親友に形見分けたい、お宝ですよ。てか家族に残したくない。

 苦悶。いっそ殺せ!死んでるし!

 悶えるわ〜どうしようもできない〜。

 それにしてもそんなモノばっかり残してごめん、見ちゃう親も可哀想だごめんなさい。

 意識飛びそう、生きてたら憤死だね。

 走馬灯がソッチ系のモノばかり浮かぶ、フェイバリットに羞恥地獄。

 誰か助けて、こんな地獄ヤダ。

 とにかく後悔する言葉がうずくように何度も響く、涙が溢れる…肉体がもうないから気分的にだけど。

 こんなのばっかり繰り返してる、なんてバッドエンドだ。


 自分がイザですよ?こう助けの声を頂けるとですね。

 「ありがとうございます」感謝しかない!

 突然この地獄に現れたわたし以外の声というか女神様に感謝の言葉をあらん限り繰り返し、土下座をしまくる。

 土下座?いつのまにか足も手もある!

 さっきまで走馬灯に漂う意識体って感じだったのに、いつのまにか生前の姿を取り戻したわたし。

 そして視界に入る尊いお姿に釘付け。

 当然美人、というか全てのパーツが整っていてキューティクルに輝いてるみたい。

 服装というか長い布で全身を纏い収めてる、でも体が輝いてるぽくて布越しにナイスバディが透けてる。

 きっれーとガン見、あこがれうらやまし。男ならきっと鼻血ですね、生理的現象は知らない、よ?

 それはともかくわたし以外の存在が嬉しかった。だって1人だと繰り返し地獄はキツイんだも。

 「神様」

 生前信じていなかった、だけどゲームやアニメ小説等では信じていました?というか発見というか出会いにただただ感動。

 死んだら会えるものなんですね。流行り物だと異世界転生なんだけどそんなことってあるのかな?

 地獄から解放された喜びで、アホな事を考えてしまう。

 でも現実なんてそんなものじゃないよね?

 「生前そんなに悪いことしたつもりないんですけど、両親以外には。あと正当防衛はアリですよね?わたしこれから天国か地獄ですか?」

 今後を左右するこの出会い、勝負時じゃん。

 ハラハラドキドキなわたし、女神様はニコッと微笑まれた。

 いい笑顔!でもこれで地獄とか言われたら死ねる。いきなり頭上に両手でバツとかされたりね。

 「異世界転生ですよ」

 「マジで!?ま、ごめごめんなさい。本当にですか?」

 タメっちゃったよ、ていうかマジ?

 異世界転生モノって結構読んだことあるけど、自分が行くとか考えたこともなかったわぁ。

 「本当ですよ。あとあなたの考えていることも全て伝わってきているので、なんならバツやってみましょうか?」

 「いやいやいや、おそれおおい。ごめんなさい。いらないです」

 「謝りながら、この出会いに乾杯とか面白いこと考えているようですけど?」

 「ホンモノですね、もう開き直っちゃっていいですか?」

 「不快にならない程度にでしたら」

 「ありがとうございます」

 心の底からリスペクト、流石神様。

 女神様も世界の次元が違うだけで、喜怒哀楽を持つ1生命体であること。ただ生まれたのが神様の世界なだけってご本人は言ってる。

 それにお仕事が世界の創造と管理なだけって、いやいやすごいよ。

 高次生命体っていうのか?

 とりあえず女神様のお話を聞く。


 そもそも世界を創造するには必要資源が大量にいるそうで?

 だから神様全員が一度に世界を作るには資源が足りないから、順番待ち。…笑える。

 でもその順番も1人ではなく複数人で1グループになることが多く、しかもグループの人数はその時々でまちまちでバラバラなんだって。

 ということは人数少ないグループの方が資源を多く使えるってことだね。たぶん。

 そしてグループの世界全てが滅亡すると、資源は回収される。そして次のグループの番が来るそうだ。

 でも今会話している女神様の前のグループで事件が起こり、とある世界の神様が不在となりコントロール不能というアクシデント。

 

 「それで幸運なことに私達次のグループは、世界創造の練習にその世界への介入を許可されたのです」

 「えーっともしやそれってチュートリアル的で、本番本気プレイじゃない好き勝手できるお試しプレイってことに?」

 「他の神は存じ上げませんが…そうですね、私あまり興味ないんですよ」

 フイたー。

 「この女神に選ばれて失敗って言い草はあんまりです」

 「思考が言語化する前に読まないでよ〜悪気はないよ。でもそうするとその世界ってば危険過ぎない?」

 「場合によってはとんでもないことも起こりえますね。それに私そもそも見学だけで済まそうと思っていたんですもの」

 「やる気なかったのね」

 この女神様ってば正直に言い過ぎぃ。

 それならなんで、わたしを拾ったんだろう?

 「それはですね、選ばれなかった候補者達を処理…資源に戻す訳ですが、あなたの意識体が異様に目立っていましたので、興味を覚えまして」

 気になる悲し辛いワードがあるわけですが、わたし悪目立ち?

 「はい、とっても。おかげで他の神達も選びませんでした」

 カハッと吐血気分。わたし失敗してるし。

 アイデンティティがダメ出しされたってことっすか?

 でもでもでも捨てる神ありゃ拾う神って言うよね?

 のけぞるわたしにスルー気味で、相変わらずの女神様スマイルで毒舌っぽいフォロー。

 「残り物には福がある、でしたっけ?」

 「悲しいこと言わないでよ」

 「ですが実際福ありますよ、変な言い方ですけれど」

 「ほんと?わたし復活」

 「意識の浄化という死後の走馬燈無限ループ、あなたが後悔と羞恥なさっていたアレですね、を何度繰り返してもご両親を想う気持ちがハッキリしていましたもの。通常は意識がすり減っていき消えます」

 わたしは両親に物凄く申し訳なく思ってる、色々あったからね。

 ない胸が痛いよ…いやサイズじゃないよ?意識体だからね肉体ないんよ?嘘です今生前の姿です。

 「ボケツッコミしてますね。それはともかくあなたの年齢でそこまで他者への愛情を保った方は少なかったのです。ですから私はあなたの人を愛する心を「恥ずかしいいいいいいいいいいい」…立派ですよ?」

 ほこらはずかしいというのか〜、嬉し恥ずかしとチョイ違う。

 神様に褒められて悪い気はしないし誇らしいことなんだろうけど、むしろ自分を肯定されたことにアイデンティティふっかーつ。

 「ところで乙女ゲーとはなんですか?いつもそこで思考が折り返してますが」

 死後硬直。

 すいませんソレ両親への最期の懺悔です。


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