表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/15

同級生



「翠くん、大ちゃんが迎えに来てくれたよ」

「あ、うん。行って来ます」


 玄関に行くと、同級生の西田にしだ大吾だいごが立っていた。


「おはよう、翠」

「おはよう、大吾…」

「どうしたの? 気分でも悪い?」

「そんなんじゃない…」


 僕は靴を履いて振り向くと、


「行って来ます」


 と、玲子さんに言った。

 すぐ後ろに鷹也が立っている。僕はどきりとして目を逸らした。


「気を付けてね。遅くなる時は連絡してね、迎えに行くから」

「ガキじゃないんだから、平気だろ」


 鷹也が呆れたように言って、玄関先に出てきた。

 迎えに来た大吾が目を見開いた。


「だ、誰……?」

「こいつの兄貴だよ」


 偉そうな口調で言う。僕はびっくりした。


「友達の大吾だよ」

「ふうん…」


 鷹也は大吾の事をじろじろと見た。大吾は高校一年生にしては背が高い。身長は170センチ以上ある。


「大吾、行こう」

「う、うん。あ、小母おばさん、翠は大丈夫です。俺がそばに付いていますから」

「用心棒なのか?」


 鷹也が呆れたように言った。


「だったら何ですか?」


 大吾がむっとしたように聞き返した。


「いいから、行こうよ。大吾」


 僕は大吾の袖を引いた。早く家を出たかった。


「行ってらっしゃい」


 玲子さんが手を振る。むっつりした鷹也が見えたが、僕はうつむいて外へ出た。


「ねえ、翠、本当にあの人お兄さんなの?」


 大吾が心配そうに言った。僕は、一瞬、びくりと肩を揺らした。


「う、うん」

「えーっ、大丈夫なの?」

「今のところ、平気…」

「もし、何かあったらすぐに言ってね」

「うん。サンキュ」


 少しだけ笑うと、大吾も笑い返した。


「傘は持ってきた?」

「うん。カバンの中に折りたたみ傘入れてる」

「なかったら、俺の傘に入って帰ろうね」

「サンキュ」


 でも、雨は降らないんじゃないかな、というくらいすっきりとした青空だった。

 視線を感じて顔を上げると、大吾が見ていた。


「翠、本当に大丈夫?」

「大丈夫だって」


 実を言うと、僕は年上の男の人が苦手だった。でも、鷹也の事が平気なのはなぜだろう。ふと、そう思った時、どきりとした。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ