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第1章―― [茜]私、ちゃんと頑張ってるのに・・

第1章―― 

[茜]私、ちゃんと頑張ってるのに・・


茜)

(あーぁ、家に居ても落ち込むだけだから、

一人で渋谷に来てみたけど、やっぱりつまらないな。

こんなに人が多いのに、なんかさびしいし

来るだけで疲れちゃった・・・。

あ〜なにやってもうまくいかないし、おもしろくない。

でもダメ!ダメ!こんなこと思っていると、

もっと運が悪くなるって開運の本に書いてあったんだ。

そうだよ!

今日は暗い部屋で一人落ち込むともっと

運気が落ちるから運気を変えるために

清掃グッズやカーテンを買いに来たんだ!

このまま暗い気持ちでいても始まらない。

そうよ、

自分は幸せだって思っていないと

幸せは来ないんだ。

幸せな気分になって歩かなきゃ。)


占い師)

そこの赤い服を着ている、

そうあなた、チョッと待って。


茜)

え?なに、私のこと?

(あ〜、なんだ占い師か)


占)

ひとり落ち込んでいても仕方ないよ、

どうすれば運が良くなるか占ってみるのはどう?


茜)

(え?私、落ち込んでる顔してた?)


占)

今なら空いているから安くしとくけど。


茜)

(今なら空いているって・・、いつも空いているんじゃないの?)

いいえ、結構です。興味ありませんから。


占)

幸せな気分を無理してつくってみたところで家に帰ったらもっと疲れるだけさ。

だまされたと思って、ここに座ってみない?安くしとくからさー。


茜)

(なんで幸せな気分を無理して作ってるってわかったんだろう?)


占)

当たらなかったら千円でいいよ。占ってみない?


茜)

(なに?このオバサン。当たらないのに千円取るの?でもまぁ、どうせ、時間もあるし気分転換にやってみようかな。もしかしたら、この占いでなにか開運効果があるかも知れないし。)

じゃ、お願いしようかな。実は今チョッと悩んでいることがあるんです。どうしたら、そこから抜け出すことができますか?


占)

お名前教えて。あと、どんな悩み?


茜)

名前は茜です。悩みは・・、なんか今、いろんなことがうまくいってなくて・・。行き詰っている感じ。このまま自分はこの先、本当に幸せにはなれないんじゃないかって、そういう漠然としたことをチョッと感じたりして・・、少し不安っていうか・・。


占)

茜さん、だったね。まずはあなたの言う幸せって、どんなこと?


茜)

う〜ん、素敵な彼ができてバイトもうまくいって学校も楽しくて充実してて・・。それから良い就職先が見つかって!全てがうまくいっているって感じかな!エヘヘ。


占)

じゃ、見てみようか?どれどれ両手を出してみて。ふむふむ・・・。


茜)

オバサン、どう?


占)

いつもあなたの近くには素敵な人がいるわ。今も、もちろんあなたのそばに現われているんだけどなー。


茜)

いえ、つい最近、別れたばかりなんですけど・・。


占)

うーん、うーん。何度もいい出会いがあるんだけど、その出会いに気付いてないんだよ。


茜)

(ちょっとぉ、別れたってことすら当てられないし、いい加減なこと言ってごまかしてる。あ〜ぁ、これも失敗だった。落としたと思って千円出して帰るか!)


占)

それに好きな人ができて付き合っても、それを自分で悪い方に持っていっては壊しているみたいなところもあるし・・。


茜)

(うゎ!当たってる!そりゃいろんなことを言ってれば何かは当たるだろうけど・・。それにそんなことは自分でもわかってるんだってば!だから幸せになれないんじゃないかって気にしてるんじゃない!問題はそれをどうすれば良くなるかなのよ!それとも運の悪そうな人を見つけては当たるまでいろんなこと言ってるんだろうか、この人。)

でもオバサン、運命の人が現われさえすれば、それもうまくいくってことはないんですか?運命の人じゃないから今までうまくいかなかったとか・・。


占)

え?運命の人が現われたら何もかもすべてがうまくいくって思っているの?白馬の騎士のお話みたいに?あら、ごめんね、バカにするつもりじゃなかったのよ。言っていることはわかるのよ。でも、あなたの場合は相手にすごく期待しすぎて、初めのうちはその相手を逃すまいと好かれるために自分に無理をさせる。そのうちに相手の嫌なところ見つけては「ダメだ、この人は」って愛想尽かせて自分から離れていってしまったりしていない?仮に相手に文句が言えるような関係だったら、どうしてわかってくれないのって攻撃していったり・・。


茜)

それって、ど、どうしてわかるんですか?あ、いえ、全てが当たっていると言っている訳ではないんですが・・。


占)

占い師だからね!

(本当は白馬の騎士の話をする人は、だいたいこのタイプが多いからだよ・・。)

自分のことを大切にしてくれているのかどうか、愛情を与えてくれてる人かをただ確認していることの繰り返しをしているみたいだけど・・、そんな自分に都合のいいことばかりの人はいないと思うんだけどね。そんなもの求めながら、幸せになれないんじゃないかって悩んでいるのは、運勢うんぬんの問題じゃなくって自分が変わらないと解決なんてできない問題なんだけどね。


茜)

占い師ってそんなこともわかるの?私はただそれを繰り返しているだけってこと?それじゃ私の場合、どうすれば「本当の出会い」を見つけることができるんですか?


占)

あなたが言う本当の出会いって一体なんなの?さっき言ってた何もかもすべてうまくいく素晴らしい人のこと?さっきも言ったけど、本当にあなたって、いつも良い人に恵まれている手相なんだよ。あなたを助ける人が周りにたくさんいるんだけど、それに気付いていないだけなの。


茜)

気付いていない?


占)

そう、近くにいる人であなたを気にいってくれている人、あなたに興味を持っている人がいるでしょう?


茜)

そんな人いない、いない。


占)

ゆっくり思い返してみて?


茜)

(そう言われてみれば、高校の時、いつもなにかと近寄ってきた中井君のことかな〜。いい加減で歌もダンスも下手でそれを直す努力さえしようともしないくせにバンドのリーダーやりたがる、あんなのとか・・?今は所くんかな〜。以前、フォークギター持って自分が作った曲を飲み会で歌っているのを聞いたことがあるけど、わけわからない曲だった。それもまた、へたくそでホントに聞いていられなかった。それ以外は、勉強もしないでバイクの改造ばっかりやってるし、これまたいい加減で軽くて全然誠実さのカケラもない人。やっぱ、ありえない!)

オバサン、いたとしても変なのばっかしかいなんですけど・・。


占)

でも、その人ってあなたが持ってない物をたくさん持っている人だと思うんだけどなぁ。


茜)

そりゃそうなんですけど、頼れないっていうか、誠実さがないっていうか、いい加減なんだよね・・。やっぱりあんなの無理、絶対ありえない!


占)

変なのばっかり?そうなのかな?あなたの場合、「自分はこうじゃなきゃいけない」というのが強くて「こうじゃないといけない自分」になれなくなると自分に嫌気をさしてしまう。人に対しても同じ。「こうじゃなきゃいけない」というのがあってそうでない部分が見えてくると同じように嫌気をさしてしまう。

自分にも人にも「こうじゃないといけないんだ」という気持ちが強すぎるんじゃないかな?

その気持ちが強いと、時に自分を責めて苦しめてしまうし人を責めて苦しめてしまう。そして自分で失意と孤独をつくってしまうんだよ。


茜)

(それにしてもこのオバサン、よくもこんなに平気で傷つけること言えるなー。)

それはあると思う。理想っていうか「こうじゃなきゃいけない」ってよく思う。今回、彼に対してそれが強く出た感じもする。だって約束を破るんだもん。でもそれって私が間違ってたの?自分で自分を苦しめてたの?


占)

必ずと言う訳ではないけど手相を見ると、よくそれがあなたを苦しめてるみたい。よかったら、別れた彼との話しをしてみてくれない?


茜)

いいけど・・。彼とはアルバイト先で出会ったの。優しそうで清潔感があって誠実そうでしっかりしている人。私が新人で入った時に店長から「彼になんでもわからないことは聞いて。困った時は助けてくれるから」と言われたぐらいバイトのみんなにも店長にも信頼されている人なの。人が見ていないところでも片付けしてたりバイトじゃできない在庫管理も店長からまかされていて、その時は尊敬できる人だと思ったの。


占)

素敵な人だと思ったんだね。


茜)

そう、バイトの飲み会でもみんなに気を使って盛り上げて「人を大切に人だなー」って。「こんな人と付き合える人って幸せだろうなー」って思ってた。


占)

どうして付き合うようになったの?


茜)

できるだけ同じシフトに入ってわざと困った振りをして聞きにいったりして・・。


占)

自分から近づいていったんだね。


茜)

そう、だから一生懸命バイトを頑張ったの、彼に好かれたくて。ある時、在庫が合わなくて二人で必死に調べたりしてるうちに「仕事熱心だね」なんて彼に言われて。それから仕事のことで彼から頼まれるようになったりして、どんどん仲良くなっていって、食事にいくようになって・・。


占)

あなたもよく気の利く頑張り屋でかわいい子になっていったんでしょ。


茜)

だって、その時は彼のことが尊敬できて、この人と一緒にいたいって思ってたもん。


占)

付き合ってからはどうだったの?


茜)

彼が英文科で英語の本を普通に読んでいるの見てすごいって思ってたの。外人から道を聞かれても普通に楽しそうに話せるから羨ましいなんて言ってたら、一緒に勉強しようって薦められて一緒に英語を勉強するようになったの。


占)

そして今度は英語を頑張ったの?


茜)

彼も英語ができると就職にも有利になるって言うし、自分でも英語が話せるようになれたら良いなーなんて思っていたから。わからないことがあるとすぐ彼に電話やメールで聞いてすごく頑張ってた。彼も私の飲み込みは早いって感心してくれた。何より一緒に勉強するのがとても楽しかったの。


占)

それからどうなったの?


茜)

そのうち、だんだんと彼が約束に遅れることが気になりだしたの。友達や他の女の子から電話が入ると相談に乗ってあげたり店長からメールが入るとすぐに飛んでいくの。私のことはどう思っているんだろうって不安になってた。でも嫌われたくなかったから「私のことはいいから早くそっちへ行ってあげて」なんて気を使って言ってたの。


占)

不安だったけど、嫌われないように我慢してたんだよね。


茜)

そう。でも彼は全然わかろうとしないの。そのうち、そうするのが当たり前みたいになってきたから私のことはどうでも良いんじゃないか、大切だとは思われていないんじゃないかって思うようになってきて・・。


占)

そりゃそう思うのは当然だよ。


茜)

デートする度に「今日も遅れて来るんじゃないか、もしかしたら、また何か頼まれて来れなくなるんじゃないか」って不安や孤独になったり、大切にされていないかもって思うようになってだんだん辛くなっていったの。そして「周りの人のことはもういい加減にして」って、会うたびにイライラするようになってきたの。


占)

イライラしてきてどうしたの?


茜)

メールや電話が入ってきたら「後にすればいいでしょう!」って言うようになっていったの。

そうしたら、トイレに入っている振りして確認するようになって・・。ますます頭にきて一緒にいる時は携帯を私が預かるようになっていったの。


占)

今度はあなたが強くなっていったんだ。


茜)

そのうち昨日は何しているのかって聞いてもなんかごまかしたり隠したりするような感じになったから、余計になにをこそこそしてるのか問い詰めるようになっていったの。そうしたらなんかウソついたりするようになって・・。彼に対して不信感を感じるようになって、メールや電話を受けたら一時間以内になにしてるのかちゃんと返事するっていう二人で決めたんだけどその約束も破るようになってきたの・・。


占)

あなたの気持ちをわかろうとしないから彼をコントロールするようになっていったんだね。


茜)

そうなの、わかってくれないの。それが重なって彼のことをだんだん優柔不断って言うか身勝手って言うか、いい加減な人だってそんな風に思うようになって、どんどん嫌になって・・、私から別れるって言って別れたの。でもまた、彼からよりを戻したいっていうからそうしたんだけど、反省しているのは口だけで態度は全然変わってなくて・・。結局、最後はかなりきついことを彼に言い続けてたら彼の方から離れていったの。


占)

そして今、あなたは一人で大丈夫なの?


茜)

大丈夫でしょう!あんな優柔不断でいい加減な奴につまずいて落ち込んでいても仕方がないから。誰にも頼らないで私は私でしっかり生きていくの。新しい良いバイト先を見つけて学校にもちゃんと行って良い就職しようって。これから頑張るの!だから今日は心機一転するために渋谷に来たんだった。


占)

あら?急に元気になったのね。


茜)

オバサン、もう大丈夫です。こんなことで落ち込んでてもしかたないし、なんか話していると元気が出てきましたから!


占)

それだったらいいんだけど・・。

「ひとりでしっかり生きていくんだ」っていう自分もいる。

でも本当はさびしくて甘えたくて優しく守ってくれる彼が欲しいって思う自分もいる。

元気に頑張って人から信頼され好かれる自分もいる。

でも人がどう思っているのか気になったり不安になって、明るくなれなくて落ち込んで一人で自ら孤独になっていく自分もいる。

両極端にある好きな自分と嫌いな自分がいるんだよね。

でも嫌いな自分ではいたくないから何とか好きな元気な自分になろうとばかり努力している。

でも恋愛っていうのはね、どんなに自分をうまく装っても、どんなに嫌な自分を隠そうとしても好きな自分と嫌な自分がすべてはっきり出てしまうんだよ。だって恋愛ってその人の生き方そのものなんだもん。だから恋愛の話を聞くと、その人の生き方がみえてきてしまう。


茜)

その人の生き方が見えてきてしまう?ってわたしの生き方がわかるの?


占)

細かいことまではわからないよ。でも今の話を聞かせてもらったら、あなたの生き方自体が見えるようだよ。いつも人に気を使って明るく元気に認められるために頑張るけど、それがうまくいかなくなってくると落ち込んで元気が出なくなって、そんな自分をダメだから何とかしようと努力する。それでもできなくなると、自分はどう思われているのか気になって不安と孤独の中、自分を嫌いになったり周囲を嫌だと感じたりして自らひとりになろうとしてしまう。そんなところがあるんじゃないかなって?違っていた?


茜)

そんなところがあると思う・・・。自分でもなんとなく気付いていた。


占)

恋愛ってその人の人生の縮図なんだよ。だから恋愛のことがわかるとその人の生き方がわかってしまうし、また反対にその人の生き方がわかれば、その人の恋愛の仕方っていうのもわかるものさ。あなたの運勢は悪いものでは決してないよ。でも幸せを受け付けない損な生き方をしているところがあるんだ。だから損をしている生き方を変えないと恋愛の仕方も変れないよ。

嫌なこと言って少し傷つくかも知れないけど、もう少し自分のことを理解してみる?良い運勢を手に入れる自分になるために。


茜)

理解してみるって?損な生き方をしているところ?怖いけど、それ、知りたい。

だって自分を変えたいの。どうすれば人生がうまく行く自分に変われるかっていつも思ってたから。


占)

周囲から愛情を求めて好かれる自分、元気な自分をつくりイキイキと頑張っていく。初めはうまくいくけど思い通りに行かなくなってくる。そうなると周りの期待に応えられなくなってくる自分がどう思われているのか気になりながら不安になる。その反面こんなに自分は人の為にやっているのに!周囲がいい加減で冷たいように感じたりする。やがてそこにいるのが嫌になり、期待を捨てて離れていこうとする。結果、自ら一人になってしまう。でもさびしい気持ちは耐えらるもんじゃない。そうなると今度は恋愛対象を見つける。再び愛情を求めて好かれる自分、元気な自分をつくりイキイキと頑張っていく。初めはうまくいくけど思い通りに行かなくなってくる。自分はどう思われているのかこれからの不安と孤独を感じる。その反面、こんなに自分は彼の為にやっているのに!彼が誠意のない冷たい人のように感じたりする。彼といるのが嫌になり、期待を捨てて離れていこうとする。結果、自ら一人になってしまう。さびしさを感じる、そして落ち込む。そしてもっと簡単に噛み砕いて言うと、いつの間にか無意識の中で周囲から愛情をもらうために頑張るか、恋愛で彼から愛情をもらうために頑張るかを繰り返してしまっているんじゃないかな?違ってる?


茜)

(傷つくこと、平気でよく言えるよな〜)当たってるところもあると思う。いつも初めはなんかハリキッてる。良い所に来たなんて思って頑張るけど嫌な人がいたり、うまく溶け込めないなんて感じると不安になって元気がなくなって置いてきぼりのような孤独感を感じる。途中で嫌になって、ここにいても仕方がないって思う・・・。そこから離れていくことは多いと思う。


占)

このパターンって友人関係とか、恋愛関係とか、いろいろやってきたこととかにも当てはまってて、あんまり長続きしないんじゃないかな?いつも不安で孤独で弱い自分を隠してはしっかりちゃんと頑張って人に優しくできる自分をつくろうとするから同じことを繰り返すのよ。この生き方を変えないと恋愛も変らないよ。


茜)

自分を変えないと幸せは来ないってことだよね?


占)

いや!もうひとつ方法はある。恋愛は生き方の縮図だって言ったように、恋愛パターンを変えればその人の人生も大きく変わってしまう。あなたの周りに彼ができて急に変わった子いない?


茜)

うーん、いる、いる!(松井和美なんかそうだ、舟腰君と付き合ってからは負けず嫌いのキツイ性格が丸くなった分、面白くていい味が出てきて親しみ易くなっちゃったもんねー。)


占)

自分の生き方を変えるように努力する?それともさっき「絶対にありえない」って言ってた人なんかをもう一度考え直してみる?フフフ


茜)

もうオバサン、ふざけないでください!自分の生き方を変えていく方を選びます!じゃぁ、どうすれば良いの?


占)

まずは「自分はこうあるべきだ」この気持ちを弱めること。

でないと「人もこうあるべきだ」になっちゃうの。

そうでない自分は好きではないし、そうでない人も好きにはなれなくなるの。

もうひとつは好かれたいがために優しく接してしまう、この気持ちを弱めこと。

あなたの場合、人に優しく接しているのは人から良いように思われたいためにやっているの。

だから、相手も愛情を持って自分や周囲に接していないといけないっていう価値観を持っているの。

そうじゃない人を見ると、その人を冷たい人だと感じたり不信感を感じたりするでしょ。

今回の恋愛も周りの人から好かれたいから優しく接していく、その価値観を持った彼に惹かれたのね。

誰かの言葉じゃないけど、今回の恋愛は偶然じゃない。その価値観を持っていると引き起こす必然なんだよ。

今、それに気付いていかないと自己成長はありえないよ。


茜)

好かれるために、良いように思われたいために人に優しくしないこと・・。

自分はこうあるべきだと強く思わないこと・・。ですね。

でも人に優しく接しないってなんかこれで良いのかなって気もするけど・・。

しっかりちゃんとして頑張ることがよくないって言うのもなぁー・・。

まー、それが強すぎることで自分が損をしているのは何となくわかりました。


占)

そのこと自体は決して悪いことじゃないのよ。強すぎると自分が苦しむってこと。

だからここに気付いて自分を変えるだけで、あなたは大きく変われるわ。

それでなくったって、あなたは多くの人に守られ大切にされていく手相をしているんだから。


茜)

ほんとですか〜。ありがとうございます。まだ、何となくですが自分のことがわかりました。

今日は不思議な体験というか、思いもよらない変わった占いでしたけど、自分にとって良かったと思います。

また、いろいろ考えてみて何かあったら来てもいいですか?


占)

ハイ、いいですよ。私はいつでもここに座っていますから。


茜)

(「自分はこうあるべきだ、人もこうあるべきだ」って確かにそういう感覚は強いかなぁ。

「人に対して思いやりを持たないといけないと思う気持ちが強すぎるから、

人もそうしていないといけない」って気持ちになるのか。

自分の価値観の枠の中で人を判断しがちかも。この自分が強すぎるから損をするのかー。

なるほどね。この自分を見直していけば良いんだ。

あ、そうだ、今日は清掃グッズと開運用のカーテンを買いに渋谷に来たんだった。

こんな時間だ、急いでやる事はやらないと・・。)


(なに?この人、信号が赤に変わったのに平気で歩いてるし。 

うわっ、この人たち、変なカッコして道端でしゃがみこんじゃって、みっともない、

通行の邪魔でしょう! あ、女の子をナンパしてる、女の子もうれしそうにしちゃって、

ほんとバカじゃない! メールしながらダラダラ歩くと邪魔でしょう、サッサと歩きなさいよ! 

エレベーターに乗るの?乗らないの?みんな待ってるでしょ! 

この店員、商品のこと全然わかってないけど、いいのこれで?この店、大丈夫?やる気あるの?)


(あ〜、あれも買おうと思って行ったのに忘れてしまった。

なんでちゃんと確認しなかったんだろう。私はなにやってんだろ。

あ〜、こんな掃除の仕方では開運できない!もっときれいにしないと!

明日はここをもっときれいにして、あとは金運の黄色の物を駅前で買って来ないと・・。

忘れないようにちゃんとメモしよう。これでよし!さあ寝よう。)


―蒲団の中、ふと今日の占いのことを思い返していた。―

(ひょっとして私って自分に対しても人に対しても「こうあるべきなのに、

どうしてちゃんとしないんだ」ってそればっかりを一日中やっていたんじゃないの?!

どうしよう、どうすればうまくちゃんと変われるのか、またオバサンに聞いてこないといけない!!)




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