自己紹介と能力について
魔力についての説明をねじ込めた
無理矢理だと思う
文章力がほしい
教室に戻ると、内宮さんが机を三台並べ、小さめの弁当を広げて待っていた。
「わりぃな、一葉」
「ちょっとしか待ってないから大丈夫」
内宮さんの前に海が座り、僕は海の横に座る。
生真面目に食前の挨拶をしてから小さい口で野菜から食べていく内宮さんを見ながら、海の言葉に耳を傾ける。
「よし。自己紹介始めるか」
「「お~」」
パチパチとおざなりな拍手を送っておく。
「まずは俺からだな。知っての通り名前は八雲海。保持能力は超能力系が一つに魔法系が数個だ。基本的には近中距離の戦闘が主だが、近距離戦のほうが得意だ。
得物は剣だ。
よろしくな」
保持能力は大別して二種類ある。
魔法系能力と超能力系能力だ。
超能力はつまり超能力系の事。
魔法は魔法系の事だ。
魔法系は発動まで時間がかかり、超能力系は瞬時に発動出来る等の差がある。
それぞれに一長一短があるのだ。
まあ、基本的に超能力系は近距離にも対応しやすく、魔法系は中遠距離が適正距離だ。
遠距離対応できる超能力系だって有るし、瞬時に発動できるようにした魔法系で近距離に対応させたり等、幾らでも例外は存在するから唯の一般論なんだけど。
「私は内宮一葉と言います。超能力系能力は持ってません……。その代わり魔法系能力は40個以上持ってますし、魔力量も人より多いので遠距離戦が得意です、いや得意というかそれしか出来ないというか……」
最後の方は消え入りそうな声量になっている。
眼鏡の奥のクリクリとした大きな目は落ち着かないのか、せわしなく動いている。
魔力量とは読んで字の如し、魔力の量である。
魔力とは<災害>後に新しく発見された原子であり、200年間研究され続けてきたが未だ完全解明には至っていないらしい。
謎を謎で丁寧に包み隠したような魔力だが、少しだけ解っていることがある。
一つ、魔法系能力を行使する際に必要不可欠な要素であり、人間が魔力を消費すると魔法を使う事が出来るということ。
二つ、魔力は生きとし生ける物の――主に人間の――生体エネルギーが固定化した物であること。
植物が光合成で二酸化炭素から酸素を作り出すように、人間は呼吸によって自身の生命力を魔力に変換する。
生成された魔力はその人間の中に浸透し、留め切れない量の魔力は大気中、水中、地中に浸透し、溶けこむ。
人間が内包する魔力は保有魔力、外部に散在している魔力を外部魔力と呼称されている。
人間は成長するにつれて、魔力の変換効率と保有魔力の最大量が上昇する。
ここら辺が魔法系と超能力系の違いの一つだね。
超能力系は集中力さえ続けば幾らでも撃てるけど、魔法系は魔力が無くなったら何も出来ない。
だから、内宮さんの様に魔力量が多いと言うのは大きなアドバンテージなんだよね。
それに、魔法系は一つの魔法を習得するのにかなり勉強しなくちゃいけないし、結構融通が効かない。
超能力系は「勘」で発動できる。
魔法系は「理論」で発動する。
分かりやすく言えば、超能力系は的を狙う時に「あそこら辺に攻撃」で十分なんだけど、魔法系は「右方15度、前12m、高さ1mの地点に~~」とかやらなくちゃいけない訳だ。
超能力系を持っている人からすれば面倒くさい事この上ない。
「最後は僕だね。僕の名前は理崎想也。超能力系能力は二つ持ってるけど、一つは今は使えない。だけど、魔法系能力は二つ……いや、一つ持ってるよ。
武器はなんでもそこそこ使えるけど基本的には刀か素手だよ」
超能力系能力を二つ持っている事を伝えた瞬間、二人の咀嚼が止まった。
数秒して思い出したかの様に食べ物を嚥下した。
「す、凄いね。超能力系能力を二つ持ってるなんて、珍しいよ」
「ああ、俺も初めて見たぜ」
二人して驚きの言葉を投げかけてくる。
「そんなに驚くことかな?」
「いやまあ、そりゃ驚くだろ」
海は呆れが口をついて出ている。
「別に今まで存在しなかった訳じゃないでしょ?」
「まあ、そうなんだがな……」
「さ、超能力系能力は生まれた時に持ってる能力以外に新しく取得出来ないんだったよね。魔法系能力と違って」
「うん、そうだよ。でも五万人に一人程度の割合で居るらしいからそんなに少ないわけじゃないよ」
超能力系能力の二重所持は希少ではあるが、決して優良という事ではない。
例えば、火を操る超能力を持っていて、もう一つの超能力がスプーンを曲げる事だったとしても二重所持と見做されるからである。
使えない能力を二つ持っているより、強力な能力を一つ持っている方が重宝される。
つまり、超能力を二つ持っているというのはただ単に珍しいだけであり、それどころか二重所持者の大多数が使えない能力を二つ持っているだけだったりする。
先の例だって、スプーン曲げの能力なぞ使わずとも火を操って熱で曲げればいいだけの話だ。
二重所持者の内の一部の人が強力な能力を二つ持っている所為で、さも二重所持者そのものが凄い様に捉えられているだけなのだ。
「……そんな訳で別に凄い能力は持ってないよ」
「実際はそんなもんなのか……。まあいい! まずはあの先公を倒す作戦を立てるぞ!」
海は六個目のパンを開けながら口の端を引っ張りあげて笑った。
うぐぐ。
早くヒロインを出したい。
主人公には早く事件に巻き込まれて貰わないと