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君と僕の理想世界  作者: 天崎
第一章
13/79

包囲網

今回は内宮視点です。



 八雲君と離れてしまった。

私が穴から投げ出されるのを助けてくれた八雲君は、理崎君と一緒に何処かへ飛んで行ってしまった。

今の私に出来るのは、下手にこの場から動かないで助けを待つこと。

少し怖いのを我慢すれば、きっと八雲君が助けに来てくれる。

そう信じて、私は目の前の怪物の群れへと向き合った。



墜落直後、周りの人達の助けを借りて飛行機を脱出した。どうやら、切り株に当たって飛行機は止まったらしい。

私を含めた十三人は、全身を強く打った程度でこれといった外傷もなかった。

ただ、パイロットの方は保持者(ホルダー)では無かった様で、切り株にぶつかったときに拉げたコクピットの中で圧死していた。

周りの人たちはそれぞれ目を伏せたり十字を切ったりしていたから、私も手を合わせて弔う。


十数秒程経つと、剥き出しになって千切れたケーブルから漏電した電気が、漏れ出していた燃料に引火して火の手と煙が上がってしまった。八雲君ならこの煙を見つけて此処まで来てくれると思うけど、怪物が寄ってくる可能性があるので早めに消すことにする。この手の燃焼は下手に水を使うと火が拡散してしまうので、消し方は魔法系(マジック)ならではの方法を使う。

えーと、ガソリン系の燃料っぽいし空気と混合してなければ燃焼しにくくなるはず。


「魔力を以って風と成せ、風を以って檻と成せ――『風檻(ウィンドケージ)』」


風の檻を飛行機全体を囲うように展開し、檻の内側を真空に近づける。

少しずつ火が弱まって小さくなって行き、やがて消えた。

ケーブルはまた引火しないように何処かに固定しておこう。


少し落ち着いてくると、私の眼鏡が何処かへ消えてしまっていることに気付いた。杖も何処かへ落としたようだ。

強化(ブースト)の効果で視力が良くなっているからそこまで問題じゃないけど、いつも顔にかかって居るものが無いとちょっと落ち着かない。

それに、今はあまり強化(ブースト)も使うことを控えたい。


「おいおいマジかよ。外部魔力が無いぞ……?」


「ホントだ……。俺、魔法系(マジック)主体なのに……」


その理由がこれだ。

何故かはわからないが、私たちの周りには外部魔力が存在しない。

私もさっき『風檻(ウィンドゲージ)』を使うまで気付かなかった。

魔法系能力者にとって外部魔力が無いというのは考えられない。

 私たちが魔法系(マジック)を使うときは、自分の保有魔力を外部魔力に混ぜて変換するんだけど、変換元が無ければ私の様な魔法系(マジック)しかできない人間は手足を捥がれたも同然。

私は保有魔力が結構多いほうだからまだ大丈夫だけど、それでも総魔力量で言ったら変換できる時とできない時では百倍は差がある。

折角、変換器(コンバーター)を買ったのに意味なくなっちゃったな。

因みに、大体の保持者(ホルダー)強化(ブースト)に限って保有魔力だけを使う癖がついているせいで自分から探ろうとしない限り、外部魔力がない事に気が付かない。

身体強化しなくちゃいけない状況で変換なんてタイムラグを作るわけにもいかないからだ。


「おい、お前ら!そういうのを調べるのは後にしな。正面から十体の怪物がお出ましだ」


 周囲を警戒していた保持者の一人、えっと、名前は確か……クリス・ローランドさん、そうそう、クリスさんが森の方を睨みながら他の人に呼び掛けた。

自己紹介の時にB+ランクだと言ってたのでぎりぎり覚えていた。 


 百八十センチを越す筋骨隆々の体を持ち上げ、背中に背負った無骨な大剣を抜いて前に出るクリスさん。

クリスさん以外も各々の武器を油断なく構えて油断なく辺りを見回す。

数秒後、全員が見据えた森の隙間から狼が這い出してきた。

宣言通り、十匹の狼がギラギラと粘つく涎を牙に纏わりつかせながらこちらを伺っていた。

その目は赤々と怪しく光っており、私たちの味を想像するかのように喉を鳴らしていた。

あの鋭い牙で噛み砕かれたら、と身震いするも簡単にやられてしまう訳にも行かない。全力の抵抗をしよう。


「お前ら戦闘準備! これくらいの数、三十秒でカタが付く!」


 不測の事態が起きて多少パニックになっていたとは言え、今は落ち着いているし、私たちは腐っても保持者(ホルダー)。この程度の問題で慌てふためくようなことは無い。

が、それもある程度の事までだ。


「おい待て! 横からも来てる! 狼の群れだ!」


クリスさんのパーティの方が声を張り上げた。

真正面からはクリスさんが言っていたように十体、左右側面から十体ずつこちらにじりじりと詰め寄っていた。

こんなに居ると言う事は、後ろからも来てると思った方が良いかな。


「後ろからも来てるぞ! およそ二十!」


やっぱりね。

こっちは十三人、狼は五十匹以上だから一人頭三、四匹倒せばいいだけだ。


「くそっ。俺が後ろの奴らをやる! 後衛系は必ず前衛系と一緒になって戦え! 群れごとに三、四人で当たってくれ! それと誰か後衛系の奴は俺の援護をしてくれ!」


「「「了解!」」」


同じパーティの人たちが右側面、左側面の防衛に当たる。

私のパーティは――実際にパーティを組んでるわけじゃないけど――八雲君と理崎君は居ない。

必然的にクリスさんの援護になった。


「あ、あの、援護しますね」

「おっ、お嬢ちゃん。頼んだぜ」


強化(ブースト)を掛けながら狼の群れへ単身突っ込んでいくクリスさん。

いかに大柄な男性とは言え、強化(ブースト)の行使を渋っていては狼たちに食い殺されるだけだ。

かと言って強化(ブースト)有りなら楽に勝てるか、と言えば答えは否だ。

人間は強化(ブースト)を行使して初めて怪物と同じ土俵に立てるのだから。

まあ、B+ランクともなれば優位に立てる位にはなるんだけども。


「オラァッ!!」


 クリスさんが大剣を重さなど消えているかのようなスピードで振り回す。

真正面から襲い掛かった狼が一刀両断されて、地面の上に転がる。大剣を振って赤黒い血を振り払うと、地面に半月状に血が飛び散る。

狼達は仲間がやられた事で慎重になったのか、クリスさんを取り囲むように移動し始めた。

数の暴力とは実に狂暴である。

一対多数は体力と集中力を著しく消費させる。攻めるには周りが邪魔をして、守るには範囲と密度が大きすぎる。

まあ一人なら、だけど。


「魔力を持って氷と成せ、氷を以って槍と成せ――『氷槍(アイスランス)』」


五本の氷の槍を空中に出現させ、クリスさんの後ろにまわり込もうとする狼を狙い撃っていく。

氷の槍一本一本が空中で突如加速し、飛翔体となって狼の腹や頭を貫いていく。

大体の予測がつくとは言え、不規則に動く物体に確実に当てられるのは五本までだ。

やろうと思えば『氷槍(アイスランス)』を百本でも二百本でも生み出して目の前に向けて放てば狼たちの殲滅は可能だ。

しかし、今は外部魔力が無い所為で使える魔力量が大幅に制限されているから無駄撃ちになるようなことはできない。一本一本丁寧に狙っていく必要がある。それに、クリスさんが居るから巻き込むようなうち方はしたくない。


「ははっ、やるじゃねえか、お嬢ちゃん。こりゃ負けてらんねえな」


クリスさんは笑いながら狼を真一文字に斬り開いていく。

迫ってきた狼を他の狼の方向へ蹴り飛ばしながら、真正面に捉えた狼を確実に仕留めていく。

私は、後ろに回ろうとする狼だけを確実に『氷槍(アイスランス)』で撃ち殺して、クリスさんが動きやすいようにする。彼は最後に残った狼を斬殺すると、そのまま近場の右側面部の援護に走って行った。

他の面もほぼ無傷で狼を殲滅できたようだ。

魔力の節約の為に、魔法系能力(マジックスキル)を殆ど使わない様に戦っていたらしく、各々の武器が赤黒い血に染まっていた。


「まあ、これ位ならなんてことはね――くそっ、またかよ。お前ら気ィ引き締めろ!さっきより強いのが来るぞ!」


クリスさんがまた新しく敵を察知したようで、背中に仕舞いかけた大剣を体の前に持ってくる。


「さっきと同じように動けよ!」


クリスさんが私の方向に走って来ると同時に、森の影から次々と怪物が這い出て来る。

怪物第二波は先ほどの狼を一回り大きく禍々しく進化ーーいや、悪化させた怪物と、突き刺し殺す事を目的に成長したとしか思えない、返しの付いた槍の様な牙を持つ猪だった。


「お嬢ちゃん、また頼むぜ」


四面八方から迫り来る怪物達を次々に射殺し、斬殺する。

後ろに回ろうとする怪物を撃ち殺し、私に向かって来るヤツを優先的に射殺す。

槍の様な牙を真っ直ぐにこちらに向け、正に猪突猛進してくる猪を『岩壁(ロックウォール)』で勢いをそらす様にしながら受け止め、頭を『氷槍(アイスランス)』で撃ち抜く。撃ち抜くだけだと、勢いそのままに突っ込んで来るかも知れなかったから、一旦受ける必要があった。

因みに、クリスさんは狼も猪も一振りで切り伏せていた。流石はB+ランクだ。


三分ほど戦っていると、私の面は殆ど倒す事が出来た。

息を整えながら後ろを見ると、他の面の人たちが少しずつではあるが押され始めていた。

クリスさんは他の所の援護に行っているので、私が援護しなくちゃいけない。


「魔力を以って氷と成せ、氷を以って針と成せ――『氷針(アイススピア)』」


片手剣を持った男に飛びかかろうとしていた狼に『氷槍(アイスランス)』を二回りほど小さくした、鋭く長い針を飛ばして牽制する。

クリスさんの時と同じ要領で狙い打つこと数十秒。猪の首を切り落とし、最後の一匹を仕留めた。

皆々、目立った怪我などもなくほぼ完璧な戦闘だと言えるが、それでも体のあちこちに傷が出来て血が滲んでいた。

呼吸も途切れ途切れに肩で息をしている人もいる。

外部魔力が無い事による総魔力量の低下がじわじわと響き始めたようだ。

魔力を節約しなくてはいけない為、魔法系能力(マジックスキル)を無駄撃ちするわけにもいかず、半強制的に至近距離戦闘になるため、負傷する可能性が高くなる。


しかもこのままだと、強化(ブースト)に使う最低限の魔力さえ無くなるだろう。

敵が居なくなってくれれば、魔力を使わずに済むから回復できるのだけど、常に強化(ブースト)を掛け続けないといけないこの状況では保有魔力の自然回復より消費量の方が大きい。

もしかしたら、既に魔力が尽きかけている人もいるかも知れない。

まあ、私の魔力量ならあと一時間は戦い続けられるけど。


「……くそっ、まただ。お前ら、新しいヤツらが来たぞ!」


クリスさんが憎々しげに吐き捨てる。

私たちを取り囲むように森から出てきたのは、先ほどの狼と猪、さらに人間を簡単に呑み込めそうな大きな口を持つ蛇、そして先のとがった岩を持った一メートルを超える猿。

少なく見ても、第二波の倍はいる。

流石にこれはまずいかも。


「ぐ……。お前ら、絶対に一対多数になるな! 必ず二人組で行動できるようにしろ! もし、怪我を負ったら切り株際まで退け。わかったな!」


クリスさんは迫りくる怪物の群れを見て、一瞬たじろいだもののすぐさま指示を飛ばし始めた。

各々がそれぞれの武器を担いで切り株を中心に、円を描くように移動し始めた。

私はどこへ移動すればいいのかな。


「ちょっといいか、お嬢ちゃん」

「な、なんですか?」

「お嬢ちゃんには、ここから守りの薄くなったところを狙い打ってもらいたい。まあ、固定砲台みてえなもんだな。頼めるか?」

「た、多分できますっ」

「オーケーだ」


そういってクリスさんは蛇と猿が多く居る場所に向かって行った。

猪と狼は先の戦いで強さが分かるけど、蛇と猿は初見だ。

強さを測るためにも自ら出向いたのだろう。

 

 さて、ここからが正念場だ。

ここで負けるようなことがあれば、死んでしまう。

八雲君に会うことも出来なくなってしまう。それだけは嫌だ。何としてでも勝たなくては、生き残らなくては。八雲君が来るまでの辛抱だ。八雲君が来てくれればきっと助けてくれる。


「……よしっ」


気合を入れて、目を閉じて深呼吸。

集中力を高めると、怒号も剣戟も全て遠くに追いやられて音の無い世界が出来上がる。

吸って、吐いて、吸って、吐いて、吸って吸って吸って吸って言葉を吐き出す。


「――魔法陣半永続展開。入力設定、思考、音声。対象設定、両腕。『氷槍(アイスランス)』出力起動開始」


言葉と共に、青白い光を放つ文字と数式が両腕と首に浮かび上がり、回転し始めた。

ブレスレッドにも見える腕の魔法陣とチョーカーの様な首の魔法陣は、それぞれ魔法系能力(マジックスキル)の補助を行う効果がある。

いちいち、『氷槍(アイスランス)』を使うための設定を行わなくても簡単に攻撃を放てるようになるのだ。デメリットと言えば、設定した魔法以外は使えなくなる、設定した発動方法を守らないと発動しなくなることだ。

今回の設定魔法は『氷槍(アイスランス)』。発動方法は頭の中で「発動」と、思う、もしくは音声入力だ。対象の設定も行ったので、一つ一つ攻撃先を決めなくても腕を向けた方向に自動で発射される。

一対多数戦闘に特化した設定方法だ。


両腕を喚き散らす怪物たちに向け、目を開ける。


「貫け、氷 槍(アイスランス)


放たれた二本の槍が狼と猪の頭を撃ち抜く。

すぐさま腕を振って他の怪物に狙いを定め発動言語を発する。


氷槍(アイスランス)

怪物を貫いたのを確認し、切り株の上に跳び乗って狙撃の体勢を取る。

体勢って言っても、棒立ちで両手を掲げてるだけなんだけどね。

上から狙えるっていうのは誤射の危険性も減らせるし良い事尽くめだ。


「ランスランスランスランスランスランスランスランス!!」


槍の雨が怪物達だけに降り注ぎ、命を奪う。

切り株の上から見下ろして分かったのだけれど、倒せば倒すほど倒した分だけ森の奥から怪物が這い出ている。ここからは持久戦になるだろう。





そして三分後、ついに負傷者が出た。

原因は魔力切れ。

攻撃魔法を使った事によって強化(ブースト)に回すだけの魔力が足りなくなり、怪物の攻撃を避けきれなくなったようだ。

腕を深く抉られ、血液が指先まで伝って滴り落ちている。応急処置として、傷を負った腕を圧迫することで血の流出を止めると、また怪物の元へ走って行った。

本当なら、戦線離脱しなければならない怪我なのだけれど、一人居なくなると他の人の負担が大きくなってしまうから無理を通すしかない。


良く見ると、大きな怪我ではないにしろ、他の人たちも体のあちこちから血を流していた。

地面は土と赤黒い血と真っ赤な血が混ざり合ってぐちゃぐちゃになっている。


「ランス!」


氷槍で猿の頭を貫き、続けざまに五体ほど地面のシミに変えていると、森の奥から重低音の様な、木が倒れる音が響いて来た。

目を凝らして見つめてみると全身を鎧で固めた4,5メートルはある黒い熊が木々をなぎ倒してやってきていた。

私たちを取り囲んでいた怪物たちが一斉に熊の前を退き、熊を中心とした円が出来上がり、そして、熊が口を開ける。



――ピィィィィィィィィィン!!!!!!



ガラスの割れる音を何倍にも圧縮した様な音が辺りにまき散らされる。

響く咆哮が鼓膜を叩き、反射的に体が硬直する。

熊の怪物はその隙を見逃さず、一番近くに居た保持者に剛腕を振るう。


「――くそッ!」


いち早く硬直から復帰したクリスさんが姿が霞む速度で熊の剛腕を受け止めるべく体を滑り込ませる。

が、しかし。


「……え?」


その言葉は誰から発せられた声であっただろうか。

目の前のクリスさんが、熊の怪物の腕を大剣で受け止めた瞬間に消えた。

具体的に言うなら、受け止めた瞬間に消えたと見間違うほどのスピードで吹き飛ばされて森の奥へ飛んで行った。


「「う、うわああああああああああああああ!」」


私たちの中で最も強かったクリスさんが一瞬にしてやられた。

その事実が、私たちに動揺を残していく。


「嫌だいやだいやだああああああ!!」

「おい待て!」

「いっいやだ! いやだっ……ぐあああああああ!」

「くそっ!」


パニックを起こした人が、錯乱して逃げようと走り出すも虎の怪物に襲い掛かられて喰われる。


そこからは簡単だった。

かろうじて保たれていた統制は熊の怪物によって粉砕され、連携の取れなくなった保持者達は一人ずつ喰われて死んでいった。

必死に食い下がって、頭を潰して、体を斬って、足を貫いて、敵を殺して、味方を守って、それでも駄目だった。

目の前の怪物を振り払って貫いて殺して、そしてはたと気付けば、私以外に誰もいなくなっていた。

敵は殺せば殺すほど後から後から増えていった。

味方は殺されれば殺されるほど一人一人減っていった。

私が十匹匹倒す間に、一人が喰われた。


今も、私の視界の中で人が二人喰われている。

私もすぐに同じようになってしまうだろう。

唯の餌として、唯の肉塊になってしまうだろう。


両手に展開した魔法陣から氷の槍を放ち、忍び寄っていた蛇を貫き殺す。

襲い掛かろうとした狼三匹を貫き殺す。

近寄ってくる熊は貫き殺せない。


「ランスランスランスランス!」


何十本もの槍を射出しても、氷の槍は鎧に弾かれ、熊は何の痛痒も感じていないようだ。


熊が一歩踏み出すと、私が一歩後ずさる。

熊が二歩近づけば、私も二歩離れる。

熊が三歩にじり寄れば、私はどこにも行けなくなった。

後ろの切り株で立ち行かなくなってしまう。


魔力はさっきの『氷槍(アイスランス)』で底を尽きた。

熊の怪物が腕を振り上げたのが見える。あれが振り下ろされた時、私は人間ではなくなるだろう。

だから後はもう、振り下ろされた熊の腕から目を瞑って願う事くらいしか出来ない。


「助けて……助けてよ! 八雲君!」


 衝撃はやってこない。

暖かい熱風が零れた涙で濡れた頬を撫でる。恐る恐る目を開けると、明るく輝く炎が見えた。

そして、その炎は優しく揺らめき、こう言ったのだった。


「助けに来たぜ」


と。

読んで頂きありがとうございます。


内宮さんの魔力総量ですが、かなり多いとしか表記していません。

そのうち本編内で説明すると思いますが、結構チートです。

保有魔力だけで、そこらの保持者の5人分くらいは有ります。

外部魔力有りだと、「小説家になろう」で良くある魔力チートレベルです。


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