表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鞭と剣を極めし男  作者: 咲哉
第一章
4/4

01

「何か現実っぽくてデスゲームって実感がないな~……」

「同感だな。この仮想世界と言うやつはどんな技術で創っているんだ……」

「あ~わかるッ!マジどうなってんだッって感じだよね~」

「うむ。私も一応成績は優秀な方なのだがな。ネット上に公開されている情報を見ても全く理解できなかった」

「綾ぴょんでも無理なら絶対私なんて無理だーッ!」


 という具合に二人は仲良くなったようです。

 俺ですか?俺はもちろんぼっちですよ?

 言っとくがぼっちってのは最強なんだかんな。ぼっちは孤高の存在だ。孤高故に最強。何故なら守るべき友がいないからだ。守るべき友がいないから自己中に行動できる。故に最強。俺TUEEEEEッ!だ。

 まあいい、俺は仲良さげな二人を見て慈愛に満ちた表情で微笑んでやる。別に保護者気取りとかじゃねぇ~ぞ、ほっとけねぇだけだよ。断じて保護者気取りじゃない。

 じゃあなんだよって?

 決まってるじゃねぇか。二人が仲良く話している光景が微笑ましいだけだよ。

 それが保護者気取りと言うより、最早保護者ってか?

 巫山戯んな。俺が保護者なんてありえねぇ。絶対やりたくねぇよ、子供の面倒見るなんてまっぴらだ。だってあいつらうるさいじゃん、懐かれると面倒じゃん。一回保育園のバイトやった事あっけど、懐かれてたまったもんじゃなかったね。もうなんつ~の?子供テンション高過ぎ無邪気すぎ可愛すぎみたいな?だから子供の面倒見るのはまっぴらごめん。

 

「…………」

「…………」


 何故か二人にジト目を向けられていた。

 意味がわからん。


「ってうぉ」

「何?」


 俺は指を指し、教えてやる。俺超優しい。


「モンスター発見ッ!」

「まあVRゲームなんだし当たり前なんじゃ……?」

「凛、違うわよ。私たちに足りないものは?」

「……………装備」

「そう、じゃあ私達はモンスターに遭遇した場合、どう対処するべき?」

「NI☆GE☆RU!」

「正解」


 ビュー!っておいおい。二人とも俺おいて逃げちゃったよ。やっぱり真のぼっちとはステルス能力が高いんだな。っふ、俺ってすげーなうん。


「ブルルルルル………」


 あ~、モンスターさんは、猪型エネミーでした、まる。

 つまり初心者レベルってかレベルが1も上がっていない俺が逃げたところで追いつかれるのがオチオウイェー。さてどうしようか。

 決まっている、戦闘しかない。が、俺には武器がない……んだが、まあ素手で頑張るしかないな。

 俺は馬鹿だが運動神経はいいんだ。自慢になんねぇ~けど本当だ。それに格好つけたがりだった俺は空手、合気道、剣道を嗜んでいた。それなりに動きにも自信があるし、腕力にも自信がある。

 あ、ここじゃ腕力は関係ないか。

 とか考えてる内に猪型エネミーさん、イノエネさんが突っ込んでくる。

 まさか助走がないなんてね、おらびっくりだ。


「とっとっと…ッ!」

 

 かろうじて横に前宙しながら回避する。いや~前回り受け身って結構役に立つもんだね。流石ぼっちの俺TUEEEEッ!


「反撃しないとダメっすよね」


 そうだ。

 反撃しないと俺は一生イノエネさんの突進を避け続けねばならない。

 イノエネさんは突進が主な攻撃方法だから合気道が有効か。


「こいよッ!」

 

 ぼっち故に一人の時はよくしゃべる。独り言をよくしゃべる。

 ぼっちは最強だ。


 イノエネさんの突進。俺はそれをバックステップをしながら屈み、イノエネさんの前足を掴みイノエネさんの突進威力を自分の筋力に上乗せしてぶん投げる。

 さすがイノエネさんだけはあり、突進の威力が半端ないためかかなり飛んでいった。

 合気道強い。

 だからぼっち強い。

 つまり俺は強い。

 

 飛んでいくイノエネさんを眺める。ドシャとかいう何とも無残な落下音がし、一瞬目を瞑ってしまう。

 パシャアアアアンという効果音を響かせながら、イノエネさんは消滅した。


「イノエネさんよっわッ!」


 まあ確かに、始まりの町を出たすぐに出会うモンスターだから弱いのは当然なのだろうが、あまりにもあっさりすぎる。

 まあいい、取り敢えず二人を呼びに行こう。

 なんだかんだ言って、あの二人では少し心細いところがある。いやもちろん俺が心細いわけではない。俺はぼっちである。孤高であることが俺のポリシーだ。

 あ、いや、親友は親友だから。そこは別の問題。


「さっすがアッキー」

「……ははは」


 ってお前ら見てたのかよ。

 凛は流石は俺の親友だけあって、この程度のことでは驚かない。まあぶっちゃけ素手でモンスターに立ち向かうなんて愚か者がやることだからな。それにこれはデスゲーム、確証はないにしても信じていたほうがいいに決まっている。

 綾は乾いた笑いを見せる。傍から見たら自殺しようとしているのと変わらない状況だったからな。まあそれもお前らが俺を置いていったからなんだが。

 だが、こう言うときぼっちは凄まじい適応能力を発揮する。


「グッジョブ」


 そう、ぼっち故の空気の読めなさ略してKY。KYはぼっちの特権であるといっても過言ではない。そして時にKYは人を救うのだ。はっはっは、ぼっち最強である。


「まあ取り敢えずなんだ?行こうぜ」

「だね~あんまし此処に居続けるとまたモンスターがリポップしかねないし~」


 そう言って俺と凛が歩き出すと、後ろからトコトコと小走りについて来ながら綾が問う。


「リポップとはなんだ?」


 あ、ゲーム初心者の方でしたか。


 ----------


「って言う事だ」

「なるほどな、有難う彰人。それにしても……以外にその……物知りなんだな」


 なんでそこで頬を赤く染める。


「いやまあなんだ、あれだ。ネトゲやってる奴なら誰でも知ってる常識だよ」

「ん、有難う」


 照れる、照れるんだけど……流石俺、ぼっちだけはある。

 日頃他人から感謝される事なんてないため、感謝されることに対して全くと言っていい程免疫がない。これが凛なら「いやいや、気にしないでいいよ~」なんて軽く返すのだろうが、俺は恥ずかしくてそれができない。なんだこれ、ぼっち最強じゃなかったのか?対人スキル低すぎだっつ~の。

 まあ嫌がらせとかの対人スキルはめっぽう高いけど。

 にしても今日はぼっち連呼してるな~。なんでかな~。別に精神的にきてるわけじゃないんだからねッ!


「お、町見えてきたな~」

「マジだ~!いや~長いようで短いようで長かったねッ!」

「凛は何が言いたいんだ……?にしても始まりの町に比べて小さい町だな」


 確かに綾の言う通りである。

 しかしそれは初心者の意見、ネトゲ上級者の俺にとってこれは当たり前のことだ。第一始まりの町が一番でかくなきゃ始まりの町じゃないだろう。なにせあそこに新プレイヤー達が一気に登場するんだ。狭かったらログインできねぇだろうが。

 っとそれを初心者に言うのは意地悪がすぎるってもんだ。

 ぼっちで心優しい俺は、黙っていてやる。


 ズザッ


 嫌な予感。

 俺はギギギと言う音が聞こえそうな首を後ろに回す。

 やっぱり、初心者殺しのモンスター登場ですよ。

 見た目は………小龍?

 っちょ、龍とかなんすか?このゲーム序盤でなんてモンスター出してくれるんすかッ!?

 これは流石に俺でも倒せる気がしない。なんせ相手の鱗が光沢を放っている、つまり硬いのだ。レベル1の俺なんかが殴ったところでダメージが通らないどころか、俺にノックバックダメージがくる。

 しかも龍だけあってあって空を飛んで追っかけてくるという怖さ。地面を走って追いかけられるのと空から追いかけられるのでは大分違うかんな。

 まあ俺が犠牲になれば済む話なんだが、生憎死にたくないもんで。

 どうしようかな………とか考えていると小龍がブレスを放つ。先制攻撃喰らいましたイェー、負けフラグゲットォォォォォオオッ!


「ごめん、俺達死ぬわ」

「ん、彰人が悪いわけじゃないよ、気にしないで」

「そうだ。そんな悲しそうな表情はやめろ」


 綾に言われ、俺はハッと顔に手を当てる。なんでだろうな、何でか涙が溢れていた。

 ッハ、ぼっちの俺が他人が死ぬことに泣いているだと?有り得ねぇ。これはあれだ。俺の人生16年で終了なんだって考えてしまったから溢れてるんだ。そうだ、そうに違いない。


「悪い」

 

 何故か謝ってしまう。

 いや、わかっているはずだ。

 俺はこいつ等の事を他人とは思っていない。仲間だと、むしろ友だと思っている。俺は決してぼっちではない。ぼっちとは俺が責任をかぶるのを防ぐためについてきた誤魔化しだ。わかっている。

 まさか始まりの町を出て数時間で死ぬなんて思ってもみなかった。これなら始まりの町に情報がある程度揃うまで居ればよかった。唯の冒険心なんかで外に出なきゃよかった。

 そしてなにより、こいつらと仲間にならなきゃよかった。


 小龍が滑空して突進してくる。俺はそれを屈んでギリギリ避け、すれ違いざまに蹴り上げる。俺のHPが1割程度減るが、小龍は俺に蹴られた事によって軌道をそらされ、綾や凛には届かない。

 だがしかし、小龍とて龍だ。羽がある。

 小龍は羽をばたつかせ急ブレーキをかける。そしてそのままブレスを吐きつつ俺に突進。無論避ける余地無し。


「綾、凛、逃げろ」


 自分でも驚く程優しい声がでた。

 綾と凛は涙をその綺麗な瞳に浮かべながら、首を横に振る。

 なんでだよ。

 お前らまで死ぬ必要はねぇんだ。逃げろよ。


「逃げないよ」

「お前を置いてはいけないからな」


 二人はそう言って自重気味に笑う。

 やめてくれ。そう言う正義心は俺だけが持っていればいい。お前らには死んで欲しくないんだ。

 そう伝えたいが、途中で胸につっかえ声に出ない。

 伝えられない。

 ならばとる行動は一つ。相討ち覚悟で小龍を仕留める。

 俺はブレスを吐きながら突進してくる小龍を見据え、足を踏ん張る。ある程度の位置に小龍が来た瞬間に思いっきり跳躍する。そのまま前宙しながら小龍の背中に踵落としをかます。

 これで小龍の移動速度は多少落ちるはずだ。

 小龍は俺に踵落としされたことにより、地に這い蹲る形になる。小龍は自分が地に這い蹲らされたことにキレたのか大きな鳴き声をあげた。

 それはどこかーー親を呼ぶような……嫌な予感しかしない。


 暫くするが親がくることはなさそうだ。

 思わず隠しボスか何かと思ったがそうでもないらしい。しかしこの小龍を相手にするのも危険である。何せ俺のHPは既にレッドゾーンだ。なぜかって?踵落としのノックバックダメージが以上にデカかったんだよ。

 だが俺の予想では小龍もあと一発で死ぬはずだ。

 伊達に相討ち覚悟していたわけではない。やはり小龍、小と付くだけあって本物の龍とは比べ物にならないほど弱い。なにせ攻撃パターンが二つしかない。ブレスか突進。

 しかしただそれだけ、それだけでもレベル1の俺には驚異である。ノックバックダメージで死にそうだ。

 さて、これで終わりにしようか。

 小龍は俺に向かって突進してくる。

 俺は先ほどと同じ要領で跳躍ーーするのが遅れてしまった。やはり俺も人間だった。死ぬことに一瞬躊躇してしまった。回避不能、これだけは確実だった。

 なら、正面から殴る。

 俺は空手で習った正拳突きの型をとる。


 そして俺と小龍が衝突する寸前ーーあの少女が現れた。


 ----------


 赤髪の女性が舞う。


 その手に持った刀に紅蓮の炎を纏わせて。


 俺は思わずその光景に見蕩れてしまっていた。


――綺麗だ……


 それが俺の抱いた感想だった。


 その光景は現実とはかけ離れていて、しかし何処となく現実味がある光景。


 だがそれも当然なのかもしれない。


 俺が今この光景を見ている世界は――仮想世界なのだから。


 余裕があれば、感想・評価を^p^

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ