力のない王
かなり久しぶりの更新。
「で、なにか証明するものはあるのか?」
俺は単刀直入にハデスと名乗る少年に聞いた。
証明するものがなければ信じようにも信じられないのだ。
「むーん・・・ちょっと待てよー。んー・・・」
彼は証明するものを一生懸命に探し出そうと懸命であった。
しかしその姿は小学校低学年ほどの容姿なので滑稽極まりなかった。
「じゃあさー、冥王らしくケルベロスとか呼んでよ。」
俺は冗談のつもりで冥界の門番ケルベロスの名前を口に出した。
しかし彼の反応は想像とは違った。
「おお!それいいな!じゃあそれで決まりだな!ただここで呼び出せるか・・・?」
なんと呼び出すといっているのだ。まず冥界の門番をかってにつれて来たら困るのではないかと疑問に思ったが、もし本人が本当にハデスだとしたら冥界は大騒ぎなんだろうなとのんきに構えていた。
目の前に巨大な犬の足が見えるまでは。
「ぎゃ!え?うえっ?な、なんだよそれ!!」
自分で言ったはずだが驚いてしまった。本当に出すとは思ってもいなかったからだ。出てきたのは足だけだったが。
「なんだ人間。お前が呼べっていたのに本人がビビってんじゃねえか!だっせえ!」
彼は爆笑しながら俺のことを指さして膝を叩いていた。
切れなかったのは、本当のことだからということと、あんな化け物を呼び出す力を持っている奴をあまり刺激したくなかったからだ。
「ま、これで俺様のことが本当にハデスだったっていうことが分かっただろ!参ったか人間!」
またもやハデスはにゃはははは!と笑っていた。
しかし、ここで疑問が起こった。
なぜ冥界の王であるハデスがこんなところにいるのだと。そしてなぜ自分を助けたのかと。
確か冥界の王ハデスは常に冥界にやってくる死者の魂をさばいたりしなければならなかったはず。
そのため天界で行われる宴会などには参加しない。そうギリシャ神話では伝わっていたはずだ。
しかしこの目の前にいるのは冥界にいるはずのハデス。しかも容姿もとても幼い。
しかしさっき見たようにハデスであることは間違いないようだった。
「なあ、なんで冥界にいるはずのお前がいるんだ?」
しまった、冥界の神をお前呼ばわりしてしまった。そうとっさに思ったが彼の反応は違った。
「あー・・・いやー・・・な?ちょっとな?まあそういうわけだわ。ははは・・・」
「いや!全然わかんないし!」
ハデスはとても渋っているように見えたが、聞くしかなかった。
「なあ、詳しく聞かせてくれよ。俺もそこらへんわかんないと怖いし。」
「んー・・・実はあんまり覚えてないんだわ。いつの間にか人間たちのいる所に来ちゃったというかなんというか?」
回答はとてもあいまいなものであった。これではさっぱりわからない。
そこで、二つ目の疑問を聞いてみた。
「じゃあさ、なんで俺を助けたの?お前冥界の王なんだろ?死なないと住人増えないぞ?」
「あー・・・それはだな・・・いわゆる器兼パシリにしようかなーって。」
彼はしれっといった。パシリにしようかなと。
「パシリ?パシリってあのパシリか?」
「おう!当たり前だろ!」
むしろすがすがしい気分になった。あそこまでズバッと言われれば言い返す余地もない。
「じゃあさ、器ってなんなの?」
言い返せないので器という言葉も聞いてみた。
「ああ、器ってのはいわゆる魔力の入れ物みたいなもんだな。人間はみんな魔力なんて持ってないから器がちっこいかひどい時にはないんだ。で、もう一人その器役が必要なんだよ。」
かなりざっくりした説明だったがなぜか理解してしまった。
「じゃあ、冥界ではどうやって暮らしてたんだよ。」
「冥界では器はいらねえ。人間界だからこそいるんだよ。」
「じゃあ冥界に戻ればいいじゃん。」
「・・・・・・だから戻れないから困ってんだろーが!!」
俺はその言葉に驚いて少しの間動くことができなかった・・・
今回長めなので文章ぐちゃぐちゃになっているかもしれない・・・
その時はすみません。