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俺は疲れているんだ、だからありもしないものを見るんだ、と自分に言い聞かせながら、目の前の崖を見た。
ここを登れば最高の釣り場があるのだ。
ここまで来て今更引き返すなんてありえない。
いつもよりも短い時間で崖を登り切った。
そして見た。
川べりにいるはずのないものが。
子供だ。十歳くらいの男の子が三人そこにいた。
――うそっ!
こんなところに子供が。
大人がいてもかなり驚く自信があるようなところにだ。
信じられない思いのまま、ふらふらと子供に近づいていった。
無意識のまま、操られるかのように。
俺が近づくと、一人の子供が言った。
「僕はさっき手を流したから、今度は足がいいな」
するともう一人の男の子が言った。
「僕はさっき足を流したから、今度は頭がいいな」
そして最後の男の子が言った。
「僕はさっき頭を流したから、今度は胴体がいいな」
言い終えると三人の男の子が、俺を射るように見た。
そして子供とは思えないほど凍り付いた冷たい顔で笑ったのだ。
終




