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おまじない
しもっこはサクの手のひらに、銀の粉をひとつ残しました。
「明日、霜がなくても、きらきらを見つけられるおまじない」
それだけ言うと、しもっこは霜の粒になって、すうっと消えました。
サクが犬を抱いて帰ると、おばあさんが目を丸くしました。
「まあまあ。地図の終点は、この子だったのかい」
サクはうなずきました。
窓を見ると、霜は少し溶けていました。
銀の地図も、もう見えません。
でもサクは、へいきでした。
胸の中に、道があるから。
しん。
きらり。
しん。
きらり。
「ありがとうって言うと、道はちゃんと光る」
サクが小さく言うと、犬が「わん」と一度だけ鳴きました。
その声も、きらきらのひとつでした。
霜は溶けてしまう。地図も消える。
でも、きらきらは消えない――そのために「銀の粉のおまじない」を残しました。
明日、霜がなくても、きらきらを見つけられる。
それはつまり、やさしさは特別な日にだけじゃなく、いつでも見つけられるということです。
最後の「わん」の一声も、きらきらのひとつ。
小さな音で締めると、読み聞かせの余韻がやさしく残ります。




