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小沢君との
今生の別れを終えて
僕は涙を溢しながら
野村君の家に向かった。
時計を見ると
かなりの時間に
なってしまった。
予想以上に
小沢君の家に
長くいたようだ。
今の反省を生かし
野村君との会話は
最低限のことしか
話さないことにする。
反省というのは
僕は小沢君に
つい神社での計画を
口を滑らせそうになったからだ。
というわけで
野村君とは会えても
顔を見るだけにしとくべき。
小沢君と野村君の
自宅は程近いので
すぐ行くことができた。
幸いにも
野村君も僕と
会ってくれるようだ。
ただ
お母さんの様子から
野村君の家族も
イジメを知らないようだ。
やはり
野村君も同じで
家族に話せないんだろう。
野村君の自室に
入れてもらった時
小沢君と同じだ!
と
彼の表情を見て
僕は感じてしまった。
見るからに
生気が失せて
憔悴しきっている。