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お母さんの許しを得て
小沢君の部屋に入った。
二週間ぶりに見る
小沢君の顔には驚いた。
別人のように
やつれていたからだ。
まず目に生気がない。
月並みな言い方だし
小沢君に失礼だが
魚が死んだような目だ。
その表情を見て
食欲が無いだけでなく
あまり眠れていないと
僕には推測できた。
小沢君を前に
しばらく声が出なかった。
小沢君は机の
椅子に座っていて
僕にベットの端に
腰かけるように勧めた。
言われるまま
僕はベットに腰掛けて
小沢君と向き合う形になった。
高坂くん!
心配して
来てくれて
ありがとう!
と
小沢君の弱々しい声。
これが
小沢君と会うのは
最後になるはずだと思うと
込み上げてくるものがある。
しかし
僕は意識的に
平静を装うことにした。
僕の異変を
小沢君に感じさせることは
絶対にしてはいけない。