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小沢君の自宅に着いて
気を落ち着かせてから
僕は呼び鈴を押してみる。
小沢君の家は
父親が公認会計士で
先祖代々、地元の名士という。
それゆえか
かなり豪邸である。
僕は何度か
遊びに行ったが
自宅内を見るからに
ハイスペックな家庭だった。
応対してくれたのは
いかにも上品そうな
小沢君の母親であった。
お母さんとも
僕は何度も会っている。
インターファンで
僕は名前を告げて
どうしても小沢君と
会いたいと伝えた。
どうやら
今は小沢君が誰とも
会いたくないことが
お母さんは知っているようだ。
それでも
小沢君に取り次ぐと
お母さんは言ってくれた。
はたして
小沢君は僕に
会ってくれるだろうか?
と
ハラハラしている。
たとえ
会ってくれなくても
僕の彼への気持ちは
手紙に書いておいた。