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その山を駆け降りて
本陣に襲いかかったんだ。
吉岡一門の本陣には
名目上は大将となる
12歳の少年が座っていた。
もちろん
その回りには
多くの門弟が
少年を守っていた。
しかし
吉岡一門の100人は
前ばかり見ていたんだ。
まさか
自分たちの
背後の険しい山から
いきなり
武蔵が現れて
襲ってくるなんて
全く考えていなかった。
そのために
名目上の大将である
12歳の少年は
武蔵に斬られてしまった。
大将を殺されて
吉岡一門は狼狽えて
事前に立てた作戦は
計画倒れとなり全滅した。
さらには
この決闘により
伝統ある吉岡一門は
滅亡してしまったんだ。
この決闘で
武蔵は後世まで
卑怯者のレッテルを
張られてしまうことになった。
確かに
いきなり背後から
襲うなんて卑怯だろう。