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ただし
僕の事件の内容は
百華さんも知らないはずだ。
ここの職員には
守秘義務がある。
たとえ
家族といえども
話せないからだ。
たぶん
東大を目指して
いつも頑張っている
人畜無害な男の子。
僕のことを
そんなふうに
百華さんは聞いただろう。
思っていた以上に
僕たちの会話は弾んだ。
こんなにも
自分は女の子と
楽しく話せるんだ!
と
我ながら
僕は意外だった。
僕は幼い頃から
人見知りであり
初対面の人とは
うまく話せない。
コミュ障とは
言えないものの
以前は間違いなく
僕は陰キャであった。
それが
ここに来て
多くの職員たちと
接していたことで
僕には自然と
コミュニケーション能力が
身に付いていたようだ。
百華さんとの
会話が弾んでいるのは
最初から不思議と
親近感を感じているからだ。




