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談話室に入る直前
あることを思い出した。
僕は幼い頃から
嬉しそうにしていると
人懐っこい顔だと
言われていたことだ。
思えば
小沢君と野村君も
給食を食べていた時の
僕の表情に惹かれたという。
それで
友達になりたいと
僕に話し掛けてきたんだ。
さらには
初対面だった
あの松山さんが
話し掛けてきたのも
僕が電車内で
お菓子を美味しそうに
食べていた時の表情に
親近感を感じたからだ。
どうやら
僕の顔は元々
口角が上がって
笑い顔のようだ。
美味しいものを
食べている時には
僕は自然と笑顔になる。
そいえば
この医療少年院に
入所した当初には
意識的に笑顔で
職員に接することを
僕は心掛けていたものだ。
そのことは
僕の出頭の前に
松山さんが別れる時に
アドバイスしてくれたんだ。




