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女の子が待つ
談話室に向かう途中
逃げ出したいような
気分にもなっていた。
僕は情けないことに
女の子と話すことに
怖じ気づいてしまったようだ。
とはいえ
半年後の退所まで
こんなチャンスは
二度と無いだろう。
それに
僕の希望で
その女の子は
わざわざ来てくれた。
きっと
ここの関係者の
誰かに拝み倒されて
仕方なく来たんだろう。
それなのに
会わないのは失礼だ。
というか
僕は内心では
とても嬉しいんだ。
その女の子は
僕と同じ学年だと
職員が教えてくれた。
ただし
その女の子の
個人情報は全く
教えてくれない。
僕が会話中に
女の子の個人情報を
聞くこともNGという。
談話室では
当然であるが
僕と女の子の会話に
職員が立会うという。
もちろん
職員は会話には
入ってこなくて
近くにいるだけだ。




