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10月の下旬
所長との面談の時だ。
いつものように
何か要望はありますか?
と
所長に聞かれた。
その時に
冗談っぽくであるが
できれば
同年代の女の子と
話す訓練がしたい!
と
僕は所長に
つい言ってしまった。
実を言うと
こういうことを
僕が頼んだのは
初めてでは、ない。
今年度の始め
もう半年も前になる。
ふと僕は
あることに気づいて
不安に感じたんだ。
それは
もう4年近くも
同年代の女の子と
会話していないことだ。
この院内で
女性と話すとしたら
食堂か掃除係の
オバちゃんだけである。
僕も必然的に
社会復帰したら
同年代の女の子と
接する機会もある。
その時に
ちゃんと話せるか
僕は不安に襲われた。
そのことを
半年ほど前に
少し躊躇したものの
僕は所長に打ち明けた。




