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なので
その時の僕は
泣き寝入りするしかなかった。
その恨みに
男の全財産を全て
使ってやろうと思ったんだ。
もちろん
窃盗であるが
今の僕には、もう
何にも怖くない。
もう毒を食わば
皿までの気分である。
それに
僕から巻き上げた
お金を利子を付けて
返してもらうだけだ。
母の再婚相手の
男には殺意まではない。
しかし
僕が死んだ後で
男が苦しむように
対策は講じてある。
つまりは
僕は、ちゃんと
母の再婚相手への
復讐も考えていたんだ。
それは
どんなふうに?
僕は几帳面にも
小学生の頃から
日記を付けていたんだ。
いつも僕は日記に
男から受けた暴力を
誇張して書いたものだ。
僕が今日
大きな事件を起こせば
警察から当然ながら
家宅捜査が入るはずだ。
そうなれば
事件の犯人の
僕の自室からは
日記も押収される。