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おい!
おい!
あんたは
行間が読めんのか?
と
僕は正直
呆れてしまった。
職員いわく
この手紙なら
全く手直し無しで
相手に送ることができる。
そういう
場合は珍しいとか
職員は絶賛してくれる。
きっと
この手紙を読めば
被害者たちも心を打たれて
もう高坂君を
殺すとか物騒なことを
言わなくなるだろうね!
と
職員は言うんだ。
どうやら
職員は所長から
手紙を書く理由を
聞いているらしい。
被害者の3人も
この手紙を読めば
僕に対する恨みなど
捨ててくれるはず。
そんなふうに
職員はマジに
確信しているようだ。
その日
僕は同じ手紙を
もう2通書いて
職員に渡した。
その手紙は
翌日には早速
奴ら3人に送られたようだ。
僕が書いた
手紙の内容は
職員の会議でも
話題になったという。




