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検閲の係の職員を
僕は、よく知っている。
高坂君!
大学受験に向けて
頑張っているみたいだね!
同年代の男の子は
女の子とデートしたり
アイドルに夢中なのに
脇目も振らずに
勉強に集中している
高坂君は立派だよ!
とか
その職員は
顔を合わせると
僕を励ましてくれる。
僕には特別に
目を掛けてくれている。
とはいえ
職員にとって
検閲は仕事である。
いくら
目を掛けている
僕の手紙だとしても
手心は加えないはずだ。
つまりは
僕の手紙でも
決して下駄を履かせて
OKを出してくれないはずだ。
そう思った
僕は手紙を
読んでもらった。
短い手紙なので
合否というか
許可か不許可かを
その場でされるようだ。
検閲に引っ掛かり
不許可になるのは
僕は想定しているし
期待も全くしてない。




