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いつものように
面談の終わりに
今、ここで何か
悩んでいることや
困っていることは?
と
所長に聞かれた。
僕は毎回
何もありません!
職員の皆さんに
とても良くして
もらっています!
と
所長に即答している。
もちろん
その言葉は
僕の本心である。
しかし
その言葉が
なぜか今日は
すぐ出てこなかった。
僕の様子に
所長は何かを
感じたようだ。
何でも遠慮なく
言って欲しい!
私に出来ることなら
何でもやってあげるから!
と
所長が促してきた。
僕は決して
所長に遠慮して
言わないのではない。
それを
所長に言っても
どうにもならないからだ。
それは
多数の奴らの
僕への殺害予告に
うんざりしていることだ。
月に一度
小沢君と野村君と
面会の時に聞くんだ。
普段は勉強に
集中しているので
そんなことは
全く気にしていない。




